「……ダメだよ。絶対にダメだ!」 まるで子供が駄々をこねる様に首を横に振り、差し出された手から逃れる様に一歩後ずさる。 「……レン」 彼女が諭す様に僕の名前を呼んだ。 ……どんなに望んだだろうか。 ……どんなに願っただろうか。 彼女に僕の存在を知って欲しいと。 そして今、彼女は僕を見つめている。 僕の名を呼び、僕に手を差し伸べている。 しかしそれは……今の僕にとってはとても悲しい事だった。