「俺は言ったよな。……『君を救いたい』と」 彼の言葉にただ静かに耳を傾けたまま、彼の言葉の続きを待つ。 「その中には……『お前』も含まれているんだけどな」 そう言って彼は悲しそうに笑うと、僕に向かってそっと手を伸ばした。 彼の近付く手にびくっと身を竦めると、彼は悲しそうに眉を顰め、それからそっと僕の頭を撫でた。 彼の大きく温かな手が、優しく僕の頭を撫でる。 ……『僕』に向けられた温かな手。 その温もりは酷く僕の心をざわめかせ、息も出来ないほどに胸を苦しくさせた。