「……さぁ、君はどうする?君のお父さんの様に僕を諭すのかな?それとも君のお父さんを殺した僕を……ここから突き落として殺してみるかい?」

彼の言葉に小さく息を呑むと、フェンスをよじ登り反対側へと飛び降りる。

もしもココから落ちたら、俺は親父と同じようにグッチャリと死ぬ事になるだろう。

冷や汗が滲み出し、しかしそれを無視して真っ直ぐに彼を見つめた。

「俺が真実を暴いても誰も幸せにはなれない。そんな事は……分かっている。……でも……俺は……」

ただ真っ直ぐに彼を見つめる。

彼もまた俺を見つめたまま、静かに俺の言葉の続きを待っていた。

「俺は柏木瑞穂と約束した。……絶対に嘘を吐かないと」

そう言ってニヤリと笑うと…… そっと手を差し伸べる。

目の前で悲しそうに笑う『レン』……いや……『柏木瑞穂』に向けて。