「君が真実を暴いたところで……誰も幸せにはなれない」

彼はもう一度最初と同じ台詞を繰り返すと、勢いよく振り返り……真っ直ぐに俺を見つめた。

「……でも俺には、それで柏木瑞穂を守れるとは思えない」

彼を見つめ返えした俺のその言葉に、彼は驚いた様に目を見開き……それから悲しそうに笑った。

「君達親子は本当によく似ている。……僕が苦しくなるほどに」

そう言って彼は俺に鋭い視線を向けた。