「……あの日も、こんな風に空が赤く染まっていた」
彼はそう言って空に向かって手を伸ばす。
「……彼は……君のお父さんは優しい人だった。瑞穂の事だけじゃない。……僕の事まで気にかけてくれる様な……そんな人だった」
彼が懐かしそうに親父の事を語る。
「彼は見てしまったんだ。……僕が瑞穂の父親を殺した瞬間を」
彼の言葉にグッと強く拳を握りしめる。
「彼はそこから瑞穂の事を突き止め……そして僕に辿り着いてしまった」
彼は少し俺を振り返り、それから困った様に笑う。
「……君と同じ様にね」
彼の言葉に同じ様に笑みを返すと、彼はまた空を見上げ小さく息を吸った。