「座って?」 そう言って優しい笑みを浮かべる彼に促され、ベッドの横の椅子に腰かける。 「怪我……平気ですか?」 「ああ、うん。全然平気」 私の問いに彼はヘラヘラと笑って見せると、ポリポリと頭を掻いて私を見た。 「綾子ちゃんは腕……平気?」 私の包帯の巻かれている腕を見て、彼が切なそうに表情を曇らせる。 「……はい」 私がそう短く答えると、それから暫く沈黙が続いた。 時計の針が規則正しく時を刻む音が聞こえ、ただ静かに時が過ぎて行く。