「僕は自分の犯した罪を……そしてこれから犯す罪を分かっているつもりなんだ。これは僕が生まれたその時に決まっていた、逃れられない悲しい道」

そう小さく呟くと、彼は静かに俺に歩み寄る。

「恨んでくれて構わない。僕は瑞穂を守る為ならば……どんな罪にも染まって見せる」

そう言って彼がナイフを振り上げる。

ナイフの刃が月明かりで鈍く光るのを見たその瞬間、それは俺に向かって真っ直ぐに振り下ろされる。

……これで……終わりか。

薄れゆく意識の中、漠然とそんな事を考え目を閉じると、迫りくる衝撃を待った。