「《レン》に会った事。これは誰にも言っていない。僕だけしか知らない真実だ」 彼はそう言うと、私に向かってそっと何かを差し出した。 それは……ハンカチだった。 綺麗にアイロンの掛けられた真っ白なハンカチ。 「僕はね……真実が知りたいんだ」 そう言って彼は私の手を取りそっとハンカチを握らせると、困った様に笑った。 「……そして君は真実を知っている」 彼はそれだけ言うと、静かに外へと出て行った。