「……知りません」 何とか声を振り絞りそう答えると、近藤さんは切なそうに瞳を揺らして俯いた。 「警察は掴んだよ。《アキラ》と……《レン》のあの映像を」 彼の口にした名前に、ビクリと身を竦めた。 しかしその行動をすぐに後悔する。 近藤さんは動揺する私をただ見つめながら、私の答えを待っていた。 ……知られてしまった。 私達が守ろうとしていた秘密を。 ……二人の秘密を。 加速度的に迫る終わりの時に怯えたまま、グッと拳を強く握りしめる。