「鈴村さんも触ってみたら?」 犬を撫でまわしている彼女がそう言って俺を見た。 ……正直、俺は動物が苦手だ。 こんな平和そうでモフモフの生き物に触ったら、俺は溶けてなくなってしまう様な気がする。 それに小さな生き物は触ったら壊れてしまいそうで……触るのが少し怖い。 「い、いや、遠慮しておく」 その俺の言葉に彼女は不思議そうに首を傾げると、そっと犬を抱き上げた。 「大人しいし噛んだりしないよ?」 そう言って彼女は胸に犬を抱いたまま、俺に近づいてくる。