病室に戻り「ふぅ」と溜め息をつき、周りを見渡す。
不治の病
不治の病
─────不治の…、病。
「治ることのナイ病、ね。やっべーな」
何故だか特に悲しいとは思わない。
「寂しい心だなぁ、おい」
≪違う。≫
「……!?」
≪アンタに大切なモノが“何もない”からよ、ばーか。≫
「…誰だ」
またさっきの声。おちょくりやがって、俺は馬鹿じゃねぇ!
≪さーて、誰かな?…うふ♪≫
「………。」
頭イカれてんのだな、俺
「……寝るか。」
俺がベッドに歩み寄るといきなり真後ろに気配が訪れた。
≪無視すんな馬鹿!!≫
「…………お前。」
≪…な、なに?≫
急に焦りだした声。どうしたんだ?ていうかこの声どこかで…。
「─────カンナ?」


