〜秋 16歳の冬〜




(もう昼じゃん…。)



夜中呑みすぎたな…頭いてぇ




ガンガンと頭が鳴って痛いっていうのにアイツは甲高い声で俺の名前を呼ぶ。



「秋君!」



「あ…カンナ。」




「おはよう、今日も寝坊?」




ニコニコしながら俺の元へやって来たのは、当時付き合っていた女性。名前はカンナ。




「るっせぇ。」



「毎晩呑んでたら病院になっちゃうよ〜?」



「そんなに俺弱くねぇし。」



「ふふっ どうかな?」



この時俺は、カンナの言葉を他人事のように聞いていた。



『あなたの病は迫っているのに…』



「ん?何か言ったか?」



「ベ、別に!ほら、早くお昼食べよー♪」




俺はカンナのことを何も知らなかった。




俺の彼女なのにな




何で何も知らねぇんだろ










「…ただいま。」