例えば君が






【奈里羽side】





『りう、私、あの人を救いたい』




そう奈里が言ったのは、今から一年前のこと。



「鍵を開けたいのですか?」



『錆びた心をこじ開けるのが私たち妖精、奈里羽。そうでしょう?』


奈里の言うことは正しい


「そうです…ね。やりましょう。」




私は最初、どうでもよかった。人間なんか好きじゃない。羽の生えていないモノ、魔法が使えないモノ。


しかし心は強い。それが人間だと思う。



『ねえりう、私“弘”に惚れてしまったの…どうしよう!』



あなたが人間なんかに惚れてどうするの。



まるでミイラ取りがミイラになってしまったわね。


それから一ヶ月後


『りう!私弘と付き合うことになった!』



「そう、それは良かったですね?奈里。」


『ええ!…愛しているわ、弘。』



いつしか奈里は弘に溺れていった。




同様に、私も弘に溺れていった。





なにせ、奈里と私は同一人物。



思う気持ちは同じである