「大丈夫だよ」








翔を落ち着かせるため、少し笑ってみる。








でも効果はないみたいで、翔はフッと見とれちゃうような優しい笑みを浮かべると、








すぐに怖い顔して男のほうに振り向いた。








「お前、コイツになにしようとした?」








いつもより、さらに低い声だして、不機嫌モードマックスまできちゃってる。









あたしは、周りの皆が翔の声に、ビクっとなったのがわかった。









自分が言われてるわけないのに、やっぱり怖いんだね。








「なにって、キスだよ」








一方言われた本人は全然気にしてない様子で、逆に面白がってるみたい。








それが気に障ったみたいで、翔がますます不機嫌になっていく…








「だから、なんでそんなことしようとしたんだよ」









「話せば長くなるんだけどな~」








「いいから話せ」








すでに命令口調。








あたしは翔の不機嫌をなおすことをあきらめて、一緒に男の話を聞くことにした。








まさか、この話が始まりだなんて知らなかったんだけどね…