皆いっせいにあたしのほうを振り向く。
『誰?知り合い?』皆目であたしにそう言ってるみたいだった。
てか、あたしが聞きたいんだけど??
この人誰??なんであたしの名前知ってるわけ??
「でっ、どの子??」
しんとなる皆の反応に待てなくなったのか、再び男が同じ言葉を繰り返す。
「ちょ、葵空、早く言ったほうがよくない??」
あたしと一緒にお弁当を食べてた友達の夏菜があたしにこっそり耳打ちする。
「そうだよ。たぶんこういうのってさっさと済ませたほうがいいと思うよ」
もうひとりの美夢も言う。
だから、言うことに決めたんだけど…
でも本当は知らないふりしてたほうが、よかったのかもしれない…
この先に起こることをしってたなら、絶対答えなかったもん。
それぐらい、この男の登場ってあたしの運命に関わることだったんだ―――
