〈伊達 徹side〉
1ヶ月前に、エージェントルームでは毎年恒例になっている社員全員を対象にした夏の健康診断が行われた。
ハナやミツ、レンは、高校で嫌でもやっているだろうから、除外。
そこでオレは、トンデモないことを知るんだ。
なぜか、俺と室長だけ、血液検査と平行して、DNAの検査も行われていた。他の人は血液検査だけで済んだのに。なぜだろう。
そして、俺と柏木さんだけ医者に呼ばれた。
「何か、異常でも……あったんですか?」
「異常は特になかったです。
そこは安心してください。」
医者は言いづらそうに一瞬目線を左下に移したあと、俺に3枚の紙を差し出した。
その紙には、『柏木 康介《かしわぎこうすけ》が、伊達 徹の生物学的父親である可能性はかなり高い』と書かれていた。
もう1枚の紙には、こう記されていた。
『伊達徹と柏木康一郎は生物学的に兄弟である可能性はかなり高い』
は?
これってつまり、俺と柏木さんは兄弟、ってこと!?
兄弟で同じ職場、こんな偶然ってあるのか。
こちらもどうぞ、と言われて手渡されたもう1枚の紙には、こう書かれていた。
『柏木 亜子《かしわぎ あこ》は、伊達 徹の生物学的母親ではない』
「柏木亜子は、俺の母親だ。
俺を産んで少ししたら父親とは離婚したから、今は他人だがな。
かなり性格に難がある。
イジメをするようなガキをそのまま大人にしたような感じといえば伝わるか?
その母親と徹に血縁関係がないってことは、俺たちは異母兄弟、ってことになるな。
まぁ、柏木 亜子は風の噂によると、死別した前妻との間に産まれた子を連れた男と再婚したようだ。」
……マジかよ。
「そういえば、小さい頃に親父から聞いたな。俺の母親は生まれつき心臓が弱くて、俺を産むのですら命懸けだった、って。
俺の母親がいつもどおり家事をしていたら、急に発作を起こして倒れたのは覚えてる。
よくわからずに母親の身体を揺らしてたら、やめろ!って親父に怒鳴られた記憶があるな。
俺が大学受験の年、これまでにないくらいの発作を起こして病院に運ばれて、虚血性心疾患で再生医療を使って処置もしてもらったんだが、心臓がそれまで保たなかった。
俺が大学に合格したっていう報告を母親にした日の夜、息を引き取った。」
「……そうか。
お前も、辛かったんだな。
癒しになってるのは明日香か。
母親似だったらタフな仕事はできてないな、良かったな父親似で」
そんな軽口を叩いていると、医者から告げられた。
「お二方は割とショックを受けていらっしゃらないようで安心しました。
この後に、今のようにDNA検査の結果の紙を渡す方がいるのですが、その方も貴方たちのようにショックを受けないのがいいのですが、そうはいかないでしょう。
ショックで気を失うこともあり得ます。
そのようなときは、柏木さんにも伊達さんにも連絡がいきますが、よろしいですね?」
「わかりました。」
「そうなる可能性を念頭に置いておきます」
オレと室長はそれだけ言って、部屋を出た。
その後、明日香が急に気を失ったという連絡を受けた。
その場で医師が診察してくれ、軽い貧血ということだった。
そこで、ある疑念が生まれた。
明日香が何かしらの結果を示すDNA検査の紙を貰ったのではないか、と。
医務室に落ちていたという紙を何気なく見た室長もとい兄さんが、顔を真っ青にしていたのも気になった。
それがわかるのは、数週間後になるのだった。
1ヶ月前に、エージェントルームでは毎年恒例になっている社員全員を対象にした夏の健康診断が行われた。
ハナやミツ、レンは、高校で嫌でもやっているだろうから、除外。
そこでオレは、トンデモないことを知るんだ。
なぜか、俺と室長だけ、血液検査と平行して、DNAの検査も行われていた。他の人は血液検査だけで済んだのに。なぜだろう。
そして、俺と柏木さんだけ医者に呼ばれた。
「何か、異常でも……あったんですか?」
「異常は特になかったです。
そこは安心してください。」
医者は言いづらそうに一瞬目線を左下に移したあと、俺に3枚の紙を差し出した。
その紙には、『柏木 康介《かしわぎこうすけ》が、伊達 徹の生物学的父親である可能性はかなり高い』と書かれていた。
もう1枚の紙には、こう記されていた。
『伊達徹と柏木康一郎は生物学的に兄弟である可能性はかなり高い』
は?
これってつまり、俺と柏木さんは兄弟、ってこと!?
兄弟で同じ職場、こんな偶然ってあるのか。
こちらもどうぞ、と言われて手渡されたもう1枚の紙には、こう書かれていた。
『柏木 亜子《かしわぎ あこ》は、伊達 徹の生物学的母親ではない』
「柏木亜子は、俺の母親だ。
俺を産んで少ししたら父親とは離婚したから、今は他人だがな。
かなり性格に難がある。
イジメをするようなガキをそのまま大人にしたような感じといえば伝わるか?
その母親と徹に血縁関係がないってことは、俺たちは異母兄弟、ってことになるな。
まぁ、柏木 亜子は風の噂によると、死別した前妻との間に産まれた子を連れた男と再婚したようだ。」
……マジかよ。
「そういえば、小さい頃に親父から聞いたな。俺の母親は生まれつき心臓が弱くて、俺を産むのですら命懸けだった、って。
俺の母親がいつもどおり家事をしていたら、急に発作を起こして倒れたのは覚えてる。
よくわからずに母親の身体を揺らしてたら、やめろ!って親父に怒鳴られた記憶があるな。
俺が大学受験の年、これまでにないくらいの発作を起こして病院に運ばれて、虚血性心疾患で再生医療を使って処置もしてもらったんだが、心臓がそれまで保たなかった。
俺が大学に合格したっていう報告を母親にした日の夜、息を引き取った。」
「……そうか。
お前も、辛かったんだな。
癒しになってるのは明日香か。
母親似だったらタフな仕事はできてないな、良かったな父親似で」
そんな軽口を叩いていると、医者から告げられた。
「お二方は割とショックを受けていらっしゃらないようで安心しました。
この後に、今のようにDNA検査の結果の紙を渡す方がいるのですが、その方も貴方たちのようにショックを受けないのがいいのですが、そうはいかないでしょう。
ショックで気を失うこともあり得ます。
そのようなときは、柏木さんにも伊達さんにも連絡がいきますが、よろしいですね?」
「わかりました。」
「そうなる可能性を念頭に置いておきます」
オレと室長はそれだけ言って、部屋を出た。
その後、明日香が急に気を失ったという連絡を受けた。
その場で医師が診察してくれ、軽い貧血ということだった。
そこで、ある疑念が生まれた。
明日香が何かしらの結果を示すDNA検査の紙を貰ったのではないか、と。
医務室に落ちていたという紙を何気なく見た室長もとい兄さんが、顔を真っ青にしていたのも気になった。
それがわかるのは、数週間後になるのだった。



