ボーダー

……2日目は、劇の仕事もなくて、レンと愛実と友佳と麻紀と一緒に午前中は回った。

昨日、家に帰って着替えたら、ブレザーのポケットにメモが入っていた。

『ハナ

ごめん!
先生に、いいかげんにもどかしいハナとミツをくっつけるために演技してやってくれ、って頼まれてて。
もしかしなくても、こじらせたよな。
本当に申し訳ない!

ところで、今日の劇でハナのお姉さん役をやってた子、ちょっと可愛いな、って思った。
柄にもなく一目惚れしたかも。

もし連絡先とか知ってたら、教えてほしい。

よろしく!』

そのメモは、私に突然の告白をした彼からのもので。
あれ、演技だったの?

っていうか、愛実に一目惚れ、って?

12時を回って、友佳と麻紀はクラスのほうの手伝いに行った。
文化祭を回るのは、レンと愛実と私だけになった。

何だか寂しいな、と思っていると、後ろから誰かに肩をポン、と叩かれた。

由紀と有海、ナナだ。

そういえば夏休みに、文化祭来るって言ってたなあ。

愛実と由紀は、会うのが久しぶりのようで、お互いにぴょんぴょん飛び跳ねながら、再会を喜んでいた。

有海は、さっそく屋台を案内してほしがった。
明日、ピアノの発表会らしい。
それに向けてエネルギーチャージしたいのね。

「あれ?
ミツくんは?
いっつもハナにベッタリなのに。」

「そういえば、いないね。
いつもハナと一緒なのに。」

「昨日の午前中から、私と目も合わせてくれないの。」

「昨日、ハナ、顔馴染みの男の子から告白されてたのよ。
断ったけどね。
好きな人がいるって。」

「その好きな人を、オレだと勘違いした、っていうオチだろうよ。」

「好きなら、ハナの目を真っ直ぐ見て言うのにそれをしなかった。
誰かにそうするように言われたのね。

演技が下手すぎるから、私、ムカついてその子の頬を一発ずつ、平手で殴ってやったわ。」

あの、その子、他ならぬ愛実に一目惚れしてるんですけど。

「思いの外、強く殴っちゃったから、冷やすためにタオル濡らして当ててあげたけど。」

そういうところだよ、和貴が一目惚れしたの。

「合唱部発表も見に来てくれてないの?」

「確か、昨日隅のほうにいたはず。
あ、時間だから、行ってくるね!」

「見に行くからね!」

「ありがとう!!」

クラスTシャツから制服に着替え終わり、お客さんの呼び込みをしようと思った。

"13時より、音楽室にて合唱部コンサートを行います。
皆様お誘い合わせの上、ぜひお越し下さい。"

放送が入った。
この滑舌の良い、明瞭な声はレンだ。

彼、放送部だから、わざわざ許可をとって入れてくれたみたい。

放送のおかげか、昨日より多くのお客さんが来てくれた。
さらに、合唱部のOG、OBの先輩まで。

発表の後、文化祭は無事終了した。
部活で2日間を振り返り、反省のミーティングをしてから、家に帰った。

後夜祭なんか……出る気分じゃなかった。

ミツなんて、私に何も言わずに、先に帰ったみたいだし。

夜の20時くらいに、インターホンが鳴った。