ボーダー

藤原さんの運転する車が前で、武田さんの車がその後を追う形だ。

「……ありがとうな、レン。
この旅行に誘ってくれて。
危うく、愛する妻を過労死させる寸前のところだった。」

「ハナ。
弁護士として有名になって、たまにワイドショーのコメンテーターもやってたりするけどさ。

自分の身体も大事にしろよ?
もうアラサーだぜ?34だぜ?
もう若くないんだからな。」

幼なじみに窘められると、さすがに素直にならざるを得ないらしい。

「レンさ……蓮太郎さんに注意されるお母さんって、何だか私がお母さんに注意されたときと似てるね!」

「お、レンさんでいいよ。
いつも優美ちゃんのお母さんとお父さんにはレン、って呼ばれてるからね。」

「何なら、レンおじさんでいいわよ?
私のことはメイさんで構わないわ。」

「それはないだろ、メイ!」

車内は笑い声に包まれた。

「こういうの、昔に戻ったみたいね!
懐かしい感じ。」

ハナの言うとおりだ。

こういうのが、リフレッシュになるのだと思った。

子どもたちは、優華はぐっすり眠っているため優美と彩ちゃん、麗眞くんとで話している。

「優美ちゃん、中学校とかは公立にするの?」

「そこまでは、まだ考えてないの。
公立行くのも、授業簡単で退屈なのよね。」

「んじゃ、中高一貫校にすれば?
親父が理事長やってる、正瞭賢とか。」

「窮屈にしすぎると生徒は伸びない。
また、私立だから、公立だからなどという暗黙の了解に縛られていては、世界に名だたる人材が育たなくなってしまうから。
なんてカッコいいこと言って、生徒の自主性を重んじてるんだろ?」

「それが絶妙なラインで、私立中高と公立中高がないまぜになったような感じになっているんだよね?
検討するだけ検討してみようか。

幼なじみが理事長やってる、っていうのが癪だけど。」

「ところでさ、スケジュールどうなってるの?
プールは時間的に中途半端だから、明日になるんだろ?」

自分で振っておいて、この話題は興味ない、と言わんばかりに話題を変えた麗眞くん。
レンのお調子者の血も、しっかり受け継いでいるようだ。

「全く、麗眞ったら。
自分で話題を振っておいて、優美ちゃんに返事をさせる余地を与えないつもりかしら。
これだから男は自分勝手なのよね。

ごめんなさいね?優美ちゃん。」

しっかり弟のフォローをするのは、姉の彩ちゃんだ。
そこは、メイちゃん似でサバサバしていてもやはり女子だ。
共感性は高いようだ。

「いいの。
情報を貰えただけでも、嬉しいから。」

「皆様方、麗眞さまのおっしゃるとおり、温水プールは明日になります。
これだけの人数を入らせるわけには参りませんので、車を分けた割り振りと同じにして、時間も分けます。
明日の午後に、私たちがプールで遊べます。

本日は、久しぶりに皆様でご歓談といきましょう。」

そういう感じか。