車に乗って、花屋で花束を買ったあと、ある場所に向かった。
そこに行くには、助手席のハナにガイドしてもらう必要があった。
ハナの祖母の墓だ。
そこで、彼女に報告しなければならない。
検察官を目指していること。
法廷では敵に回ることもあるが、プライベートでは全面的に彼女の味方となり、支えること。
そのために、彼女と籍を入れ、これから挙式をすること。
手を合わせながら、それらを伝えた。
そっと墓石の前から離れる。
次は、ハナの番だ。
そっと彼女は墓の前で手を合わせ、一筋涙を頬に伝わせていた。
その涙を拭うと、彼女自身が幼少の頃よりずっと首から下げていた指輪を外して、墓石に置いた。
「……ありがとう。
お祖母ちゃん。
今までずっと守ってくれて。
もう、魔力には頼らない。
守ってくれる人と一緒に、ずっと歩んでいく。
使うのは、この指輪じゃない。
左腕の腕輪だよ。
この腕輪と、私自身の力で、私らしい弁護士になって、愛する旦那と生きていくの。
だから、空の上から見守っててほしい。
よろしくね。」
「ハナ、いいの?」
「うん!
ねぇ、また行こうね。
いつか、家族が増えたら、報告しなきゃいけないから。」
嬉しいことを言ってくれる奥さんだ。
「あのさ、それは、夜のお誘い、ってことでいいの?」
「……もう!
そうだけど、耳元で言わないで!
照れるじゃん!」
墓参りを終えて、車に戻ると、オレは愛する妻を抱き締めた。
「……泣けよ。
さっきから泣きたかったんだろうが。
車の通り、少ないところに停めたけど万が一、ってこともあるから、可愛い泣き顔を他の輩に見せないようにしてるんだからさ。」
ポロポロと大粒の涙が彼女の頬を濡らしていった。
彼女の華奢な背中を優しく叩く。
「ごめん、服、ビショビショ……」
ひとしきり泣いた彼女は、お詫びの言葉を口にしたが、それすらも気にしなくていい、というように彼女の頭を撫でた。
「……ありがとう。
優作、って名前の通り、優しい旦那さん貰えて幸せ。」
「奥さんに可愛いこと言われちゃうとさ、我慢できないじゃん。
車で、はさすがにダメだ、ここじゃ用意できないからさ。
今すぐ妊娠したいなら別だけど、それは、オレもさせたくないからさ。
せっかくのキャリアを台無しにしたくない。
だから、今はこれだけ。」
ハナに深く唇を重ねた。
車内に響くのは、少し情欲をかきたてる、舌が絡み合う音と、時々合間に漏れる吐息。
「エッチな奥さん。
夜、楽しみにしてる。
奥さんからエネルギー貰ったから、クルーズ船まで安全運転できそう。
ありがと。」
彼女の身体を起こしてからシートベルトをつけさせて、安全運転をしながらクルーズ船まで運転した。
クルーズ船に着くと、武田さんがオレたちを見つけて頭を下げた。
「ようこそ、おいでくださいました。
華恵様、優作様。
どうぞ、クルーズ船にてしばしの間、ご歓談をお楽しみくださいませ。」
乗ってきた車は宝月邸のガレージに置かせてくれるという。
「皆、私より先にお母さんか。
子育て、大変?」
そんな話に花を咲かせているのは、オレの大事な妻。
こんな光景を見ていると、高校の頃に戻ったみたいな気すらしてくる。
オレは、そのどさくさに紛れて用意をする。
紙袋に入った結婚指輪は、将輝と由紀ちゃんに渡してある。
そして、オレがタキシードに着替え終わった頃に、クルーズ船内に放送がかかった。
『ご歓談中のところ、申し訳ございません。
御剣 華恵さま。
別室で黒沢 友佳様がお待ちです。
至急、ランプが点灯している部屋へお越しください。』
この放送の声は武田さんだ。
いいタイミングだな。
それから、1時間くらいは経った頃だろうか。
「あれ?
いるの?
ミツ……じゃない、優作?」
ノックの音と共に聞こえるのは愛しい奥さんの声だ。
「どう?優作……
似合う、かな……」
そう言って、ふわふわのウエディングドレスを着て、照れたようにはにかむオレの妻。
「超似合う。
このまま連れ帰ってドレスの下を見たいくらいだ。
行こっか。」
「あ、別に結婚したからって、下の名前呼び捨てじゃなくて、普通に今までの呼び方でいいからね?
ハナ。」
会場に響くのは、結婚行進曲の音色。
奏者は有海ちゃんしかいないな。
血の繋がりはないハナの父親と、美しいドレスを着ているオレの妻が歩いてきて、オレの目の前で止まった。
「娘を、よろしく頼むよ。」
その言葉に頷いて、タキシードに着替える際に麻紀ちゃんに渡していた指輪を受け取る。
「いつの間に買ってたの?
これ……」
結婚指輪を彼女の華奢な左手薬指に嵌めた。
「似合うな。」
カーブを描きながらクロスする、2本のラインがこれからのオレたちを象徴しているかのよう。
ライン状にいくつも埋め込まれたダイヤモンドが反射して眩い光を放つ。
「世界一綺麗だ。
離してって言っても離してやらない。
一生かけて幸せにしてやるから。
……愛してる。」
ベールをそっと上げて、唇を重ねる。
軽くするつもりが、我慢できなくてほんの少しだけ舌を絡めた。
そこに行くには、助手席のハナにガイドしてもらう必要があった。
ハナの祖母の墓だ。
そこで、彼女に報告しなければならない。
検察官を目指していること。
法廷では敵に回ることもあるが、プライベートでは全面的に彼女の味方となり、支えること。
そのために、彼女と籍を入れ、これから挙式をすること。
手を合わせながら、それらを伝えた。
そっと墓石の前から離れる。
次は、ハナの番だ。
そっと彼女は墓の前で手を合わせ、一筋涙を頬に伝わせていた。
その涙を拭うと、彼女自身が幼少の頃よりずっと首から下げていた指輪を外して、墓石に置いた。
「……ありがとう。
お祖母ちゃん。
今までずっと守ってくれて。
もう、魔力には頼らない。
守ってくれる人と一緒に、ずっと歩んでいく。
使うのは、この指輪じゃない。
左腕の腕輪だよ。
この腕輪と、私自身の力で、私らしい弁護士になって、愛する旦那と生きていくの。
だから、空の上から見守っててほしい。
よろしくね。」
「ハナ、いいの?」
「うん!
ねぇ、また行こうね。
いつか、家族が増えたら、報告しなきゃいけないから。」
嬉しいことを言ってくれる奥さんだ。
「あのさ、それは、夜のお誘い、ってことでいいの?」
「……もう!
そうだけど、耳元で言わないで!
照れるじゃん!」
墓参りを終えて、車に戻ると、オレは愛する妻を抱き締めた。
「……泣けよ。
さっきから泣きたかったんだろうが。
車の通り、少ないところに停めたけど万が一、ってこともあるから、可愛い泣き顔を他の輩に見せないようにしてるんだからさ。」
ポロポロと大粒の涙が彼女の頬を濡らしていった。
彼女の華奢な背中を優しく叩く。
「ごめん、服、ビショビショ……」
ひとしきり泣いた彼女は、お詫びの言葉を口にしたが、それすらも気にしなくていい、というように彼女の頭を撫でた。
「……ありがとう。
優作、って名前の通り、優しい旦那さん貰えて幸せ。」
「奥さんに可愛いこと言われちゃうとさ、我慢できないじゃん。
車で、はさすがにダメだ、ここじゃ用意できないからさ。
今すぐ妊娠したいなら別だけど、それは、オレもさせたくないからさ。
せっかくのキャリアを台無しにしたくない。
だから、今はこれだけ。」
ハナに深く唇を重ねた。
車内に響くのは、少し情欲をかきたてる、舌が絡み合う音と、時々合間に漏れる吐息。
「エッチな奥さん。
夜、楽しみにしてる。
奥さんからエネルギー貰ったから、クルーズ船まで安全運転できそう。
ありがと。」
彼女の身体を起こしてからシートベルトをつけさせて、安全運転をしながらクルーズ船まで運転した。
クルーズ船に着くと、武田さんがオレたちを見つけて頭を下げた。
「ようこそ、おいでくださいました。
華恵様、優作様。
どうぞ、クルーズ船にてしばしの間、ご歓談をお楽しみくださいませ。」
乗ってきた車は宝月邸のガレージに置かせてくれるという。
「皆、私より先にお母さんか。
子育て、大変?」
そんな話に花を咲かせているのは、オレの大事な妻。
こんな光景を見ていると、高校の頃に戻ったみたいな気すらしてくる。
オレは、そのどさくさに紛れて用意をする。
紙袋に入った結婚指輪は、将輝と由紀ちゃんに渡してある。
そして、オレがタキシードに着替え終わった頃に、クルーズ船内に放送がかかった。
『ご歓談中のところ、申し訳ございません。
御剣 華恵さま。
別室で黒沢 友佳様がお待ちです。
至急、ランプが点灯している部屋へお越しください。』
この放送の声は武田さんだ。
いいタイミングだな。
それから、1時間くらいは経った頃だろうか。
「あれ?
いるの?
ミツ……じゃない、優作?」
ノックの音と共に聞こえるのは愛しい奥さんの声だ。
「どう?優作……
似合う、かな……」
そう言って、ふわふわのウエディングドレスを着て、照れたようにはにかむオレの妻。
「超似合う。
このまま連れ帰ってドレスの下を見たいくらいだ。
行こっか。」
「あ、別に結婚したからって、下の名前呼び捨てじゃなくて、普通に今までの呼び方でいいからね?
ハナ。」
会場に響くのは、結婚行進曲の音色。
奏者は有海ちゃんしかいないな。
血の繋がりはないハナの父親と、美しいドレスを着ているオレの妻が歩いてきて、オレの目の前で止まった。
「娘を、よろしく頼むよ。」
その言葉に頷いて、タキシードに着替える際に麻紀ちゃんに渡していた指輪を受け取る。
「いつの間に買ってたの?
これ……」
結婚指輪を彼女の華奢な左手薬指に嵌めた。
「似合うな。」
カーブを描きながらクロスする、2本のラインがこれからのオレたちを象徴しているかのよう。
ライン状にいくつも埋め込まれたダイヤモンドが反射して眩い光を放つ。
「世界一綺麗だ。
離してって言っても離してやらない。
一生かけて幸せにしてやるから。
……愛してる。」
ベールをそっと上げて、唇を重ねる。
軽くするつもりが、我慢できなくてほんの少しだけ舌を絡めた。



