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歓談の時間、皆料理を囲んでいて、ハナちゃんたちは、タッキーと仲よさげに話していた。

タッキーは、メイちゃんと蓮太郎くんの結婚式も学校にライブ中継されていたらしく、画面越しに見ていたという。

ふと私たちのところに来ると、言った。

「こんな晴れの場に私を呼んでくれたことにまずは感謝したい。
本当にありがとう。
夫婦になったと思ったら、すぐに父親と母親になるとは予想外だったな。

友佳さんと一成くんなら大丈夫だ。
いい友人もたくさんいるしな。

落ち着いたら、学校にも来るといい。
その時は、子供も連れてな。」

「ありがとうございます、多喜本先生……」

涙で言葉が詰まってお礼が言えない私を見かねたのか、一成が伝えてくれた。

「素晴らしいスピーチをありがとうございました。
私も友佳も、高校にいた頃に戻ったような、何だか懐かしい気持ちになりました。」

「蒲田や御劔、宝月夫妻、添島と相原に頼まれたら、断れないよ。」

「ほらほら、泣かないの。
お腹の赤ちゃんに泣き顔見せるわけにいかないでしょ?」

ハンカチを差し出してきたのは岡副先生。

「岡副先生も、背筋が伸びるスピーチをありがとうございました。」

「どういたしまして。
改まってお礼を言われるほどのことは、何もしていないわ。
こういう場、憧れだったし。

私の最初の担任が、あなたたちで本当に良かった。」

何かが運ばれてきた。
運んできたのは、麻紀ちゃんと真くんだ。

「ご歓談の途中ではありますが、ご注目ください!
スポットライトに照らされながら、大量のマカロンがタワーのように積み重なったマカロンタワーがお目見えいたしました。

何と、このマカロンは新婦と新郎のご友人、相原 真様と添島 麻紀様の手作りなのだそうです!

今から新郎新婦には、マカロンタワーに入刀はせず、ファーストバイトのみ行っていただきます。
シャッターチャンスですので、どうぞ前の方にお越しください。」

え、この流れ、一成にマカロン食べさせるの?
私も、一成に食べさせてもらえるの?

甘くなさそうなマカロンを選んで、一成の口に放った。

「抹茶でOK。さすが俺の奥さん。

友佳には、思いっきり甘いのを。」

口に放り込まれたのは、キャラメル味のマカロン。

急いで食べたからか、クリームが口の横に付いてしまった。

このままで写真に撮られたくはない。
困っていると、一成が自分の口の横をトントンと叩いた。

知ってるのに、とも言えず、むくれる。

柔らかい舌の感触がして、クリームが舐め取られた。
同時に、舌をほんの少し絡めるキスを、一成からされた。

「奥さんが可愛いから、つい。
ちょっとは抹茶の味、感じた?」

コク、と小さく頷くと、にっこり微笑んでくれた一成。

それにしても、この今にも崩れそうなマカロンが全部麻紀と真くんの手作りだとは。
何日かかったんだろう……

その後にモニターに映し出されたのは、プロフィール映像と、蓮太郎くんの家で今日のサプライズ結婚式の準備をする皆のメイキング映像。

ハナや麻紀、真くんや御劔くん、蓮太郎くんが1人ずつ、インタビュー形式で私たちの高校での様子等を振り返って、インタビューに答えている映像まで。

この映像、皆いつの間に撮ってたんだろう。

バスケ部の後輩は、ビデオレター形式でコメントまで寄せてくれていて、皆の優しさをひしひしと感じた。

映像の間にスタンバイしていたのであろう。
有海ちゃんの隣には麻紀ちゃんが立っている。
その近くにはグランドピアノが。

「サプライズのムービー、お楽しみいただけましたでしょうか。
続きまして、ここでしか聴けないピアノの生演奏に参りましょう。
今回は、一木 有海さんと同じピアノ教室に通っているという、添島 麻紀さんも連弾で演奏いたします。
それでは、お願いします!」

奈斗くんのテンションが上がっていることだろう。
テンションの高まりを抑えながら、淡々と司会をこなせているのは、彼が俳優志望だからだろうか。

「新郎新婦、並びにご両家の皆様、本日は誠におめでとうございます。
お二人へのささやかなお祝いとして、クラシック曲を生演奏させていただきます。
ショパンのノクターンと、パッヘルベルのカノンは、私の隣におります、添島 麻紀さんとの連弾で演奏いたします。」

口上を述べたあと、一礼して、2人でピアノの前に座る。

ピアノの前に座ると、瞬時にスイッチが切り替わるのは有海ちゃんだけで、麻紀ちゃんは、ゆっくり呼吸をしたあと、鍵盤に手を添えた。

ノクターンとカノンの美しい音色が、優しく鼓膜を刺激した。

拍手の後、始まる前と同じ場所で一礼して、2人並んで席に戻っていった。