ゲストに歓談と食事を楽しんでもらう時間だ。
私たちも楽しんだ。
緊張と不安は式が始まってから、どこかに飛んでいったらしい。
目の前の器は割とすぐに空になった。
普段、ここまで食欲が出たことなんてない。
きっと、式と披露宴と、昨日の寝不足でハイになっているんだろう。
そう信じて疑わなかった。
「メイ、お腹空いてたの?」
蓮太郎にもビックリされた。
「うん。多分。」
ゲストの席は思い思いに盛り上がっている。
ブライズメイドたちも、皆と自由に歓談している。
後で、彼女たちに向けたギフトを忘れずに渡さないとな。
「さて、ご歓談とお食事も続いている頃だと思いますが、ケーキ入刀に移ります。」
3段になっているウェディングケーキは、巨峰やマスカット、ブルーベリーが随所に散りばめられ、ホイップクリーム型のふんだんに使われている。
ケーキの周りを、青いバラが囲んでいる。
私たちの挙式のテーマカラーの青をどこまでも意識してくれているらしい。
1段目には私達の名前と今日の日付、『HappyWedding』の文字が。
入刀を終えると、1段目は冷凍される。
これはアメリカ式だ。
1年後の3月17日に2人で食べて、この日を振り返るのだ。
その時は、家族が1人増えている可能性も無きにしもあらずだが。
2段目と3段目はもったいないので、切り分けてゲストに味わってもらうことにした。
発案したのは蓮太郎だ。
食品会社も傘下に持つ宝月グループの当主なのだ。
ナイフを入れるとケーキの新鮮味は薄れる。
そのまま置いておいてダメにしておくのは解せない、というのが彼の意見だった。
私もそれには賛成したので、そのような流れになった。
私はお色直しのため、一度退場する。
退場の際は、有海ちゃんが弾くピアノの音色で退場した。
ブライズメイドの由紀ちゃんが、エスコートをしてくれている。
由紀ちゃんも、有海ちゃんが弾くピアノ、聞きたいだろうに。
その時、私の手を取った彼女が、一瞬眉をひそめた気がした。
しかし、気のせいだろう、と思った。
「メイちゃん、式やらいろいろ終わったら、友佳の部屋行ったほうがいいよ?
つかぬこと聞くけど、排卵日予定より早まったんじゃない?
この前後も割と回数こなしてた、っていうリークはあったのよ。
ってことは、可能性割と高いんじゃないかな?
ごめんね、ブライズメイドとして、ちょっと言っておきたくて。
友佳も、化粧品の香りで気分悪くなったって聞いて気にしてたから。
言いづらかったら私にでもいいから、ホントにしんどくなったら言ってね!
じゃ、お色直し行ってらっしゃい!」
肩を軽く叩いて、努めて明るく言ったのは彼女なりの気遣いだろう。
……もしかして。
本当に、早ければ今日中に。
家族が増えるか否かが、分かるのか。
予感はあった。
予定の排卵日より5日程度早い排卵痛も、少しの出血もあったから。
少し怖いが、覚悟は決めてある。
きっと……喜んでくれる……よね?
蓮太郎。
兼ねてから決めてあったロイヤルブルーのドレス。
アクセサリーのシルバー系にチェンジする。
ピアスは前日に、式には参列したかったが急遽裁判が入った、と言って残念そうにしたジュリアから貰った、ダイヤとスワロフスキーが印象的なピアスだ。
蓮太郎のタキシードのネクタイも、青色になっている。
私に合わせてくれた?
まさかね。
「行くぞ、メイ。
式終わったらゆっくり、な?
何かオレに言うことあるんでしょ?
顔見てれば分かる。」
会場は盛り上がっている。
きっと、ブライズメイドの皆が、徹夜したりしながら作ってくれた映像が流されているのだろう。
どんな感じなのか、気になった。
蓮太郎にエスコートされて、再び式場に入る。
トーンは違えど、ブライズメイドの衣装は寒色系で統一されている。
それに、ブライズメイド以外の招待客は気がついたようで、より一層場が盛り上がった。
パシャパシャとシャッターの音が聞こえる。
各テーブルを回って、写真撮影にも応じた。
全部のテーブルを回り終えた頃、誰かが拍手に混じってグラスをフォークで叩いた。
このタイミングで?
「メイ、後でいい報告楽しみにしてる。」
そう囁かれた後、彼から軽いキスをされた。
もしかしなくても、蓮太郎、勘付いてるのかなと思わせる口ぶりだった。
「それでは、これより自由に歓談をお楽しみください。
皆様、私たち宝月家の挙式にご参列くださり、ありがとうございました。」
蓮太郎が司会者からマイクを渡してもらってそう話した。
アメリカ式だと、何もせずとも自由に歓談したり帰ったりするが、日本だとまだそうはいかない。
だから、その合図として蓮太郎がそう言ったのだ。
ブライズメイドとアッシャーで並んで何枚も写真を撮った。
「ブライズメイドとアッシャーの皆。
色のトーン、遠目から見ると不揃いに見えるけれど並ぶとグラデーションになっててすごく綺麗よ。
メイちゃん、素敵な式をありがとう。
うちの孫にも感謝ね。」
カメラ係になってくれたのは奈美さん、蓮太郎の祖母だ。
「ありがとうございます。」
ハナちゃんと御劔くんは、私と蓮太郎の手を引っ張って会場の外に連れて行った。
そこには、私と蓮太郎がいた高校から花が送られていて、祝電も送られていた。
お世話になった高校の担任の先生からだ。
……こういう交流って、嬉しいものね。
私たちも楽しんだ。
緊張と不安は式が始まってから、どこかに飛んでいったらしい。
目の前の器は割とすぐに空になった。
普段、ここまで食欲が出たことなんてない。
きっと、式と披露宴と、昨日の寝不足でハイになっているんだろう。
そう信じて疑わなかった。
「メイ、お腹空いてたの?」
蓮太郎にもビックリされた。
「うん。多分。」
ゲストの席は思い思いに盛り上がっている。
ブライズメイドたちも、皆と自由に歓談している。
後で、彼女たちに向けたギフトを忘れずに渡さないとな。
「さて、ご歓談とお食事も続いている頃だと思いますが、ケーキ入刀に移ります。」
3段になっているウェディングケーキは、巨峰やマスカット、ブルーベリーが随所に散りばめられ、ホイップクリーム型のふんだんに使われている。
ケーキの周りを、青いバラが囲んでいる。
私たちの挙式のテーマカラーの青をどこまでも意識してくれているらしい。
1段目には私達の名前と今日の日付、『HappyWedding』の文字が。
入刀を終えると、1段目は冷凍される。
これはアメリカ式だ。
1年後の3月17日に2人で食べて、この日を振り返るのだ。
その時は、家族が1人増えている可能性も無きにしもあらずだが。
2段目と3段目はもったいないので、切り分けてゲストに味わってもらうことにした。
発案したのは蓮太郎だ。
食品会社も傘下に持つ宝月グループの当主なのだ。
ナイフを入れるとケーキの新鮮味は薄れる。
そのまま置いておいてダメにしておくのは解せない、というのが彼の意見だった。
私もそれには賛成したので、そのような流れになった。
私はお色直しのため、一度退場する。
退場の際は、有海ちゃんが弾くピアノの音色で退場した。
ブライズメイドの由紀ちゃんが、エスコートをしてくれている。
由紀ちゃんも、有海ちゃんが弾くピアノ、聞きたいだろうに。
その時、私の手を取った彼女が、一瞬眉をひそめた気がした。
しかし、気のせいだろう、と思った。
「メイちゃん、式やらいろいろ終わったら、友佳の部屋行ったほうがいいよ?
つかぬこと聞くけど、排卵日予定より早まったんじゃない?
この前後も割と回数こなしてた、っていうリークはあったのよ。
ってことは、可能性割と高いんじゃないかな?
ごめんね、ブライズメイドとして、ちょっと言っておきたくて。
友佳も、化粧品の香りで気分悪くなったって聞いて気にしてたから。
言いづらかったら私にでもいいから、ホントにしんどくなったら言ってね!
じゃ、お色直し行ってらっしゃい!」
肩を軽く叩いて、努めて明るく言ったのは彼女なりの気遣いだろう。
……もしかして。
本当に、早ければ今日中に。
家族が増えるか否かが、分かるのか。
予感はあった。
予定の排卵日より5日程度早い排卵痛も、少しの出血もあったから。
少し怖いが、覚悟は決めてある。
きっと……喜んでくれる……よね?
蓮太郎。
兼ねてから決めてあったロイヤルブルーのドレス。
アクセサリーのシルバー系にチェンジする。
ピアスは前日に、式には参列したかったが急遽裁判が入った、と言って残念そうにしたジュリアから貰った、ダイヤとスワロフスキーが印象的なピアスだ。
蓮太郎のタキシードのネクタイも、青色になっている。
私に合わせてくれた?
まさかね。
「行くぞ、メイ。
式終わったらゆっくり、な?
何かオレに言うことあるんでしょ?
顔見てれば分かる。」
会場は盛り上がっている。
きっと、ブライズメイドの皆が、徹夜したりしながら作ってくれた映像が流されているのだろう。
どんな感じなのか、気になった。
蓮太郎にエスコートされて、再び式場に入る。
トーンは違えど、ブライズメイドの衣装は寒色系で統一されている。
それに、ブライズメイド以外の招待客は気がついたようで、より一層場が盛り上がった。
パシャパシャとシャッターの音が聞こえる。
各テーブルを回って、写真撮影にも応じた。
全部のテーブルを回り終えた頃、誰かが拍手に混じってグラスをフォークで叩いた。
このタイミングで?
「メイ、後でいい報告楽しみにしてる。」
そう囁かれた後、彼から軽いキスをされた。
もしかしなくても、蓮太郎、勘付いてるのかなと思わせる口ぶりだった。
「それでは、これより自由に歓談をお楽しみください。
皆様、私たち宝月家の挙式にご参列くださり、ありがとうございました。」
蓮太郎が司会者からマイクを渡してもらってそう話した。
アメリカ式だと、何もせずとも自由に歓談したり帰ったりするが、日本だとまだそうはいかない。
だから、その合図として蓮太郎がそう言ったのだ。
ブライズメイドとアッシャーで並んで何枚も写真を撮った。
「ブライズメイドとアッシャーの皆。
色のトーン、遠目から見ると不揃いに見えるけれど並ぶとグラデーションになっててすごく綺麗よ。
メイちゃん、素敵な式をありがとう。
うちの孫にも感謝ね。」
カメラ係になってくれたのは奈美さん、蓮太郎の祖母だ。
「ありがとうございます。」
ハナちゃんと御劔くんは、私と蓮太郎の手を引っ張って会場の外に連れて行った。
そこには、私と蓮太郎がいた高校から花が送られていて、祝電も送られていた。
お世話になった高校の担任の先生からだ。
……こういう交流って、嬉しいものね。



