大浴場の脱衣場で服を脱ぐ。
丁寧に身体を洗った後、レンや一成、真と共にオーシャンビューの露天風呂に身体を沈める。
「サンキューな、レン。
上手くいったのは、ひとえに自分だけ幸せになるんじゃなくて、ちゃんとオレたちの幸せも気にかけてくれてたお前のおかけだ。」
「今更お礼言われることでもねぇって。
オレの大事な妻と籍入れる後押しをしてくれたのは、他ならぬミツだしな。
それに、アメリカでの高級ホテルの朝食の朝、ハナへのプロポーズを手伝ってくれ、って言われたとき、やっとか、って思ったほどだったからな。
メイも快く了承してくれたよ。
だからこそ、修学旅行のときに、良さげな婚約指輪が売ってる店のリスト、渡しただろ?
あれを作るのにかなり寝不足になったみたいで心配だったけど。」
「早く結婚しちまえばいいのによ、お前らも。
する時に薄い膜いらずなの、直接締め付け感じられて超いいぜ。
友佳によると、される側も熱さを直に感じられるらしいし。」
「おいおい、一成さ、分かってる?
お前、まさか既に妻になったばかりの友佳ちゃんを妊娠させてるんじゃないだろうね?」
「……着けないでした、ということなら十分可能性はあるだろうな。
オレの奥さんは勘付いてる感じだったな。
同性だからこそ、だろうけど。
まぁ、デキやすいと言われる排卵日の前後を狙ってればより可能性は上がるな。
この数日、最近オレはそうしてるし。」
この期に及んで、サラッと孕ませる宣言するなよ、幸せ夫婦め。
「仮に、真の言うとおりだったとして、覚悟はあるのか?
一成。
人の親になる覚悟は。
守るべきものが増えることになる。
籍を入れた妻の家庭環境はお世辞にも良好、とは言えない感じだろ。
その辺りはどうなってるんだ?」
オレが尋ねると、目を泳がせておっかなびっくり話し出す一成。
おいおい、そんなんで大丈夫か?
まず普通では、どんなにラブラブなカップルでも、高校卒業してすぐに籍は入れない。
そのイレギュラーをやってのけたんだ。
皆が皆、オレたち親友のように肯定的に受け止めてくれる人たちだけではない。
そういう人の心無い言葉や好奇の目線にも、怯えながら暮らすつもりか。
「友佳の父親は、卒業式に顔だけ出してくれてたんだ。
俺と友佳が卒業式終わりに婚姻届を出しに行く時に、学校から役所まで、役所から学校まで送迎もしてくれた。
『何かあったら言ってきなさい。
可能な限り力になる。
ウチの娘をよろしく頼む。』
そう言ってくれたよ。」
……お互いの両親の援助が期待できるなら、お金の問題は一応、大丈夫そうだな。
「とにかく、何か策を考えて実行に移してるかもしれないな、オレのデキる奥さんは。
早めにあがるか。」
「そうだな。
僕の彼女の麻紀も、友佳ちゃんと仲良いから、様子がおかしいことには気付いているかも。」
脱衣場に戻って、ブローチのテレパシーでハナに呼びかける。
『ハナ、可愛いオレの婚約者のハナ。
聞こえるか?』
応答がない。
彼女がブローチを身につけていない可能性もあるが。
レンが首を振っていた。
携帯にメールが入っていた。
『友佳がのぼせたみたいなの!
麻紀が彼女を介抱しながら先にあがってる。
外のラウンジにいるんじゃないかな。
旦那さんだけでも、先に向かわせてあげて?』
呑気に着替えている一成の腕を引いて、携帯のメール画面を彼に見せる。
「行ってやれ。
危なっかしいから、誰か1人ついてやったほうがとも思うけど、誰がいいかな。」
奥さんとお揃いっぽいサテンパジャマを手早く着たレンが、オレが行く、と言った。
『友佳ちゃんの旦那と、レンを行かせた。
……それにしても、こういうときに便利だったのにな。
ブローチのテレパシーはもう使えなくなった感じか。
実はオレたちもだ。』
……この沖縄旅行の前日の午後のこと。
オレたちの幼少期の恩師である鈴原先生に聞きたいことがあったため、時間をもらっていたのだ。
オレとハナと、レンも一緒にだ。
「昔、オレには話してくれましたよね?
鈴原先生。
どんなに魔法の力が小さいうちは強くても、歳を取るごとに魔力に身体が適応できなくなっていく。
そうなると、徐々に魔力は失われていく、と。
その兆候は、オレたちにはすでに出てきています。
完全に魔力が失われたらサインのようなものが出るのか、ということと、なぜそうなるのか、理由を教えてほしいんです。」
「鈴原先生は一瞬微笑んだ。
ブローチのテレパシー、使えてあと1回。
もしかしたら、もう使えないかもしれないわ。
テレパシーが使えなくなったら、もうあなたたちの魔力は失われた、ということよ。」
「1つ目の疑問は分かりました。
もう一つ、オレは回答を求めてます。
それについては?」
「鈴原先生。
私の推測ですけど、魔力が身体に適応しなくなってくるのは、第二次性徴期後。
それが正しいとすると、妊娠できる、妊娠させられる身体になった時点で、魔力の減りは顕著になる。
……違いますか?
おそらく、自分の子供に魔力を遺伝させないようにするためね。
上手く魔力を使える人間ばかりじゃないもの。
魔力が身体に馴染まないと自傷したりもする。
レンと彼の奥さんみたいに、どちらかが魔力なんて持ち合わせない子との子供なら、レン側の遺伝子が何かの影響を及ぼす可能性を消したいから、かしら。
何より、魔法の力を操る魔力は本来、あまり公にできない力。
それを必ずしもいいことばかりに使う人ばかりじゃないわ。
それが善悪の判断すらつかない子供なら尚更。
……合ってるかしら?」
「……弁護士だった頃の、貴女の祖母とかぶって見えたわ。」
それは、鈴原先生の完敗宣言だった。
……もう、魔力はオレの身体にないのか。
何だか清々しい気分だ。
丁寧に身体を洗った後、レンや一成、真と共にオーシャンビューの露天風呂に身体を沈める。
「サンキューな、レン。
上手くいったのは、ひとえに自分だけ幸せになるんじゃなくて、ちゃんとオレたちの幸せも気にかけてくれてたお前のおかけだ。」
「今更お礼言われることでもねぇって。
オレの大事な妻と籍入れる後押しをしてくれたのは、他ならぬミツだしな。
それに、アメリカでの高級ホテルの朝食の朝、ハナへのプロポーズを手伝ってくれ、って言われたとき、やっとか、って思ったほどだったからな。
メイも快く了承してくれたよ。
だからこそ、修学旅行のときに、良さげな婚約指輪が売ってる店のリスト、渡しただろ?
あれを作るのにかなり寝不足になったみたいで心配だったけど。」
「早く結婚しちまえばいいのによ、お前らも。
する時に薄い膜いらずなの、直接締め付け感じられて超いいぜ。
友佳によると、される側も熱さを直に感じられるらしいし。」
「おいおい、一成さ、分かってる?
お前、まさか既に妻になったばかりの友佳ちゃんを妊娠させてるんじゃないだろうね?」
「……着けないでした、ということなら十分可能性はあるだろうな。
オレの奥さんは勘付いてる感じだったな。
同性だからこそ、だろうけど。
まぁ、デキやすいと言われる排卵日の前後を狙ってればより可能性は上がるな。
この数日、最近オレはそうしてるし。」
この期に及んで、サラッと孕ませる宣言するなよ、幸せ夫婦め。
「仮に、真の言うとおりだったとして、覚悟はあるのか?
一成。
人の親になる覚悟は。
守るべきものが増えることになる。
籍を入れた妻の家庭環境はお世辞にも良好、とは言えない感じだろ。
その辺りはどうなってるんだ?」
オレが尋ねると、目を泳がせておっかなびっくり話し出す一成。
おいおい、そんなんで大丈夫か?
まず普通では、どんなにラブラブなカップルでも、高校卒業してすぐに籍は入れない。
そのイレギュラーをやってのけたんだ。
皆が皆、オレたち親友のように肯定的に受け止めてくれる人たちだけではない。
そういう人の心無い言葉や好奇の目線にも、怯えながら暮らすつもりか。
「友佳の父親は、卒業式に顔だけ出してくれてたんだ。
俺と友佳が卒業式終わりに婚姻届を出しに行く時に、学校から役所まで、役所から学校まで送迎もしてくれた。
『何かあったら言ってきなさい。
可能な限り力になる。
ウチの娘をよろしく頼む。』
そう言ってくれたよ。」
……お互いの両親の援助が期待できるなら、お金の問題は一応、大丈夫そうだな。
「とにかく、何か策を考えて実行に移してるかもしれないな、オレのデキる奥さんは。
早めにあがるか。」
「そうだな。
僕の彼女の麻紀も、友佳ちゃんと仲良いから、様子がおかしいことには気付いているかも。」
脱衣場に戻って、ブローチのテレパシーでハナに呼びかける。
『ハナ、可愛いオレの婚約者のハナ。
聞こえるか?』
応答がない。
彼女がブローチを身につけていない可能性もあるが。
レンが首を振っていた。
携帯にメールが入っていた。
『友佳がのぼせたみたいなの!
麻紀が彼女を介抱しながら先にあがってる。
外のラウンジにいるんじゃないかな。
旦那さんだけでも、先に向かわせてあげて?』
呑気に着替えている一成の腕を引いて、携帯のメール画面を彼に見せる。
「行ってやれ。
危なっかしいから、誰か1人ついてやったほうがとも思うけど、誰がいいかな。」
奥さんとお揃いっぽいサテンパジャマを手早く着たレンが、オレが行く、と言った。
『友佳ちゃんの旦那と、レンを行かせた。
……それにしても、こういうときに便利だったのにな。
ブローチのテレパシーはもう使えなくなった感じか。
実はオレたちもだ。』
……この沖縄旅行の前日の午後のこと。
オレたちの幼少期の恩師である鈴原先生に聞きたいことがあったため、時間をもらっていたのだ。
オレとハナと、レンも一緒にだ。
「昔、オレには話してくれましたよね?
鈴原先生。
どんなに魔法の力が小さいうちは強くても、歳を取るごとに魔力に身体が適応できなくなっていく。
そうなると、徐々に魔力は失われていく、と。
その兆候は、オレたちにはすでに出てきています。
完全に魔力が失われたらサインのようなものが出るのか、ということと、なぜそうなるのか、理由を教えてほしいんです。」
「鈴原先生は一瞬微笑んだ。
ブローチのテレパシー、使えてあと1回。
もしかしたら、もう使えないかもしれないわ。
テレパシーが使えなくなったら、もうあなたたちの魔力は失われた、ということよ。」
「1つ目の疑問は分かりました。
もう一つ、オレは回答を求めてます。
それについては?」
「鈴原先生。
私の推測ですけど、魔力が身体に適応しなくなってくるのは、第二次性徴期後。
それが正しいとすると、妊娠できる、妊娠させられる身体になった時点で、魔力の減りは顕著になる。
……違いますか?
おそらく、自分の子供に魔力を遺伝させないようにするためね。
上手く魔力を使える人間ばかりじゃないもの。
魔力が身体に馴染まないと自傷したりもする。
レンと彼の奥さんみたいに、どちらかが魔力なんて持ち合わせない子との子供なら、レン側の遺伝子が何かの影響を及ぼす可能性を消したいから、かしら。
何より、魔法の力を操る魔力は本来、あまり公にできない力。
それを必ずしもいいことばかりに使う人ばかりじゃないわ。
それが善悪の判断すらつかない子供なら尚更。
……合ってるかしら?」
「……弁護士だった頃の、貴女の祖母とかぶって見えたわ。」
それは、鈴原先生の完敗宣言だった。
……もう、魔力はオレの身体にないのか。
何だか清々しい気分だ。



