ボーダー

もう、ミツったら。

「なんて言われたのよ、さっき。
婚約者さんから。」

服を脱いで丁寧に身体を洗って、オーシャンビューの露天風呂に浸かるなり、始まる尋問。

「寝かせる気も、疲れたってギブアップしてもやめないから、夜は楽しみにしてろ……
みたいなニュアンスだった。」

「うわあ、明日は寝不足覚悟だね!」

「何なら、明日は部屋でイチャイチャコースもいいかもね?

さっきのプロポーズ、羨ましかったなぁ。
私たちなんて、予算、というかそこまで余裕がなかったから、結婚指輪だけだよ?

『卒業式当日に籍入れたい。
友佳と一緒じゃないと、これからの人生楽しくない、って本気で感じるんだ。
友佳のためなら、何でも頑張れる。

友佳、俺と結婚してくれないかな。』

みたいな感じよ。」

「ちょっと不器用で、でも友佳ラブな一成くんらしい台詞でいいんじゃない?

卒業式前に苗字変わっちゃうと、卒業証書作り直しだし、面倒そうだもんね。
それに、校長もうるさいだろうし。

卒業式終わりに婚姻届を出しに行ったのも、いい判断だったんじゃないかな。

私も真に3人みたいなプロポーズされたいー!」

ガールズトークに花を咲かせていると、友佳が湯船からあがった。
湯船に身体を沈めてから10分くらいしか経っていない。

のぼせたかも、クラクラする、と言うので、麻紀と一緒に脱衣場まで行った。

「麻紀も一緒にあがるね、お風呂なら明日の朝にも入れるから。
麻紀より友佳だよ!」

「大丈夫かしら、あの子。

もしかしたら入籍前からお楽しみをしてたってこともあるかもしれないから、身体の変化にはには敏感にならなきゃね。

それは私にも言えることだけど。」

そう話すメイちゃんの太ももやおヘソの辺りにくっきりと紅い痕がつけられていた。

「一昨日と昨日は特にね、旦那には割と激しく求められたわ。
その前も回数はこなしたけれど。

……排卵日前後に、ってところは策士ね、そういうところ。
絶対挙式前後のオメデタ、狙ってるわね。」

策士というより、もう確信犯なのでは?

「まぁ、蓮太郎、ここ数ヶ月、当主としての勉強も兼ねていろいろ大学で講義学んで、家に帰ってからも課題で手一杯、って感じだったし。

3月で向こうに戻ってから、ちゃんと、こっちで大学生してたわ、蓮太郎。
日本の高校生として学んでた分も単位として認められたの。
だけど、経営の勉強したいから、ってサマースクールまで受けて。
規定の単位を大幅に超えてとった上に成績優秀だったから、表彰もされたわ。

その功績が認められて、夏学期の終わりの8月に月に卒業したの。

だけど、そうしてからも宝月邸の建設に立ち会うために日本を離れたり、使用人を直々に教育する施設を作るための話し合いをしていたり、忙しくしていたわ。

夜にイチャつくタイミングなんて、あまり取れなかったくらいにね。

排卵日前後のベストタイミング取れるのは、今月が初めてなのよ。」

レン、そんなに忙しかったんだ……
それでも、私たちの前では疲れた様子なんて微塵も見せなかった。

レン、すごいなぁ。

そろそろあがりましょ、とメイちゃんが言う。

それぞれ部屋着を着て脱衣場を出る。
私は、あの高級ホテルでも着た、婚約者とお揃いのパジャマだ。

ラウンジには友佳と一成くん以外のメンバーがいた。

「友佳ちゃんと一成は、部屋で休ませてる。
軽い貧血だろう、って。

風呂上がりに水飲まないと、脱水症状になる。

ハナとメイの2人、そこのラウンジの自販機で何か買うか、頼むといい。
部屋に入ると、水も多分補充されてるはずだけどな。
そこは抜かりないぜ。
宝月グループ管理のホテルだからな。」

「そうするわ。」

メイちゃんと私は、それぞれ麦茶を買って、ラウンジの椅子に座った。