ボーダー

私たちが先、ということで、女性陣は男性陣より早く入浴タイムとなった。

「はしゃぎすぎてコケるなよ?」

入浴の前に頭をポンポンしてくれるのはミツ。
その様子を、私とミツ以外のメンツが、ニヤニヤしながら見つめている。

皆して照れるじゃん、もう。

「まだ迷うだろうし、螺旋階段で目が回って、確かにコケやすくなる。
案内してやってくれないか、メイ。」

「蓮太郎に言われなくても、そうするつもりだったわよ。

さぁ、私についてきてね?
はぐれても見つけるように努力するけど。
この屋敷はターミナル駅以上の広さだから、一度迷うとなかなか目的地に辿り着けないから、気をつけてね?」

メイちゃんは当然、先頭にいるからいい。
筋金入りの方向音痴の麻紀が心配だ。

「麻紀!
友佳!
オッケー、メイちゃん、いるよー!
進んでくださいー!」

私が要所要所で点呼をとった。
修学旅行の引率の教師になった気分だ。

ロッカーは不用意に開けられないよう、指紋で鍵となって開閉される仕組みだ。

そして、自分が使い慣れたメーカーのアメニティーを取ってから浴室に向かうのだ。

「VIPな気分になれるね、ここは相変わらず!」

「この屋敷はそういうところよ。
せっかくここを滞在場所として選んでくれたんですもの。
その人の期待を裏切らないように、むしろ最高のサービスを、という配慮よ。

まぁこれは、この屋敷の空間デザインに携わった志穂さんが、蓮太郎に話してくれた言葉の受け売りだけど。」

「その志穂さんの空間デザインに憧れて、ウチの一成は不動産の営業目指したのよね。
しかもちゃっかり柏木グループの関連会社。

ちょっと妬けちゃうな。」

「何言ってるの。
友佳、一成くんにめっちゃ愛されてるじゃん。
メールやら電話は毎日なんでしょ?
賢正学園でのサポートするときは寄って、一緒に帰ってくれるみたいだし。」

麻紀、詳しいな。
もしかして。

「賢正学園、行ってるの?」

「そうよ。たまに食事を作りに。
評判良くて。
特に真の料理が。」

惚気けるねぇ。

「ねぇねぇ、メイちゃんはどうなの?
レンと。
夜は相変わらずなの?」

「ええ、まぁね。
たまに加減してほしい、って思うときもあるけど、嬉しくはあるのよ。
早めに家族増やせれば、とは思うし。」

メイちゃんとレン、どちらに似ても美男美女な子供になるな、きっと。

のぼせるのを防ぐために早めに上がって、髪を乾かしながらラウンジで休憩するときも話題は尽きなかった。

子供は1人でいいから、その子に思いきり愛情を注ぎたい、というのは友佳だ。

私とメイちゃんと麻紀は、一人っ子はかわいそう、せめて2人は、という意見は一致した。

「ハナと御劔くんの子供は、すごい論理的で地頭のいい子になりそうだよね。
ちょっと融通きかない感じの。

そこも個性だよ、大丈夫。」

麻紀、余計なお世話だよ……

ラウンジではしゃいだ後は、少し部屋で旅行用の洋服の話をして、夕飯の時間だと言うので食堂に向かった。

ちらし寿司やら赤飯やら、友佳と一成くんの入籍を祝したメニューになっていた。

夕飯の後は、明後日の旅行に向けて各々解散となった。