翌日。

朝起きると、私の部屋にミツがいた。

なにこれ!
なんか夫婦みたいじゃん!

「おはよ、ハナ。」

「おはよ、
って、ミツ?
なんでいるの?」

「んー?
こういうのもいいでしょ。
早く顔洗って着替えろよ?
朝食、遅れるぞ。」

本当に私がちゃんと起きられるかが心配だっただけみたい。
私の頭を軽く撫でて、軽く唇にキスをくれる。

ああ、本当に夫婦みたいだ。
結婚したら、こんな感じで毎日、甘い目覚めになるのかな。

制服に着替えて、朝食に降りる。

「おはよう……」

「おはよ。ハナ。」

「今起きたところ?
おはよ。」

レンとメイちゃんが声をかけてくれる。

「あれ?
ところで2人、って相部屋?」

「そうだよ。
本当はダメなんだが、部屋が1人では広すぎる、って。
オレ1人じゃ広すぎるから、って。

それに、まぁ、婚約者なんだし一緒にいさせてやるか、って感じだったっぽい。」

いいなぁ、羨ましい。

朝食の席で、和貴くんと愛実が、同じテーブルで朝ごはんを食べていた。

「あのさ、ハナ。
ありがと。
協力してくれて。

おかげで、付き合うことになった、和貴と。」

和貴くんの横にいる愛実が、顔を真っ赤にしている。
まだ名前の呼び捨てに慣れないらしい。

愛実、めっちゃ可愛い!

「おめでとー!
愛実!
よかったね!」

愛実の背中をバシバシと叩いた。

「コラ。
朝飯を胃に入れたばかりで背中を叩いてやるなよ、ハナ。
んで、早く食べないと、遅れるぞ。
支度遅いんだから。」

「んも、ミツ、一言多い!
分かったよ、食べます!」

愛実も、和貴くんも、レンもメイちゃんも微笑む。

現地の高校の生徒と交流した。

いろんな、マレーシアならではの遊び教えてもらったし。
最後に、なんかプレゼントもらったし。

相手の方が付けていたブレスレットだったけど。

交流を終えた後は、クラス別に観光をした。

ひっきりなしにレンの携帯が鳴っていたけど、特に気にしていなかった。

だけど、忘れていたんだ。
マレーシアは、日本と違って、治安が悪いということを。

観光を終えて、お土産を買ったり、写真を撮ったりして、バスに戻った。

バスの中で、レンが先生たちが持っているマイクを奪って言う。

「この学校の生徒の荷物から数冊のパスポートが盗まれた。
皆は被害ないか?」

皆は大丈夫だと言う。

レンは、十分気を付けてくれとだけ言って、先生にマイクをパスした。

その日、ホテルの自由時間にも、先生のしつこいくらいの見回りが行われた。

そんな中、私とミツは、先生に盗難被害の状況を聞くため、2人だけで廊下に出た。