お風呂から上がると、用意されていたのはバスローブ。

いくら何でもこれ、テキトーすぎるだろ。
ってか、バスローブでやましい想像をしてしまうのは、そういう思考回路だからか?

それとも、本当にその先を期待して?
一応、まだメイとはキスすらもしていない。

だけど……バスローブって……
確か4年前、1回メイの家で着た記憶がある。

オレはバスローブを着て、そっと脱衣所のドアを開けた。
目の前にいたらどうしようかと心臓が跳ねたがその心配はなかったようだ。

「メイー?
あがったけど……」

そう言いながら、リビングのドアを開ける。
顔を耳まで真っ赤にしてオレを見上げるメイがいた。

「ちょっ……蓮太郎っ……」

顔を真っ赤にして、何か言いたそうにオレを見上げたと思ったら目を逸らす。
言葉が出てこないのか、それともほぼ裸に近い今のオレの姿を間近で見て恥ずかしいのかのどちらか。
おそらく後者だろう。

「何?メイ。似合わない?
ってかそんなに顔赤くしちゃって、どうしたの?
何か言いたいことあるなら言ってほしいな。
いつものメイらしくないよ?」

「別に?
そんなことないってか…似合ってるよ?
すごく…」

目を潤ませながら上目遣いでそれ言ってくるとか…マジ反則だ。
短めの薄いTシャツワンピースの胸元が見えそうで、それにもそそられる。

ヤバ……理性が……保ちそうにない。

ぎゅ……

「じゃ、これでバトンタッチな?
次、メイがお風呂入る番だよ?」

ほんの一瞬だけ、メイを抱き寄せた後、浴室に向かわせた。
オレの反応に、少し寂しそうな目をしたメイ。
リビングの扉を閉める前に、何かをオレの目を見つめて、少し眉を下げた。

何かしてほしかったなら、言ってくれればよかったのに。

メイの方から言いづらかったのだろう。
何しろ、無理やり、同意も無しにバージンを奪われたのだ。

抱きしめてほしい、など、その行為を自分から思い起こすようなことは言えないはずなのだ。自ら、自分のトラウマを掘り返すことになる。

そこは、オレがうまく察してリードしてやるべきだったのだ。
男としてまだまだだな、オレも。

やべー。
何とか抱き寄せるだけで済んだわ……

何かメイ、オレが風呂から上がった後からやけに顔が赤かった気がする。

しかも似合ってるって上目遣いで言ってきて、若干胸元見えてんだぜ?
危うく、後ろにソファーがあったら押し倒すところだったよ。

だけど、誘うような仕草をするメイも悪いんじゃねぇ?
オレが何とか理性飛ばさずに済んだからいいけど……

あのままだったら100%……メイを抱いてた。
あんなことがあった後だってのに……
メイはそれで良かったのかよ。

そんなことを思いながらも、メイを抱いてる自分を妄想していたりもする。

……だけど……まだデーティング期間で。
まぁ、身体の相性を確かめるために抱くのもありとはされているけれど。
そうだとしても、生半可な気持ちで抱きたくはない。
まぁ、メイがもし……
そうしてほしいって言うなら……
そのときは壊れものを扱うように優しく……抱いてあげたい。

そうできる自信は……ある。
理性飛ばない限りは。


そんなことを考えていたら、いつの間にかソファーでうたた寝をしてしまっていたらしい。