村西さんが本部に帰ってから1時間。
メイと一緒にポンコツだったマリオを中心に特訓してやる。
楽しい時間だった。
このときは。
メイが少し疲れた、と言うので休憩したときのこと。
メイの右手中指にはめてある指輪に気付いた。
オレは、指輪で思い出したことがあった。
昨年の10月。
インキャンの後、空港に行ってメイに会ったあの日。
メイの青いスーツケースの傍らにピンクゴールドのピンキーリングが落ちていた。
バレないように拾ってはおいた。
しかしながら、渡すタイミングを逃してしまった。
厳重に包装して、生徒手帳の中に入れてオレがずっと持っていた。
そのリングを、メイに渡した。
「メイ。
ごめんな?
ずっと渡しそびれてて……」
メイは目を見開くと、オレの手からリングをむしりとるように奪って、言った。
「蓮太郎が持ってくれてたのね。
部屋中ひっくり返しても見つからなかったわけだわ。
普段ならお礼を言うところよ。
だけど今回ばかりはね、これを失くしたおかげで、大変な目に遭ったのよ。」
脚のアザを見ながら言うメイに、オレは何かを勘づいた。
……リングの内側に書いてあった"M・A"という文字。
……メイの、デーティングの相手か?
そのイニシャルの男が、メイを今回こんな目に遭わせた可能性が高い。
メイは、心から付き合うことを望んだワケではないことは明らかだ。
いや、片方が乗り気じゃない行為を無理やり行うのはもはや犯罪だ。
「メイが乗り気だったとは思えない。
もしかして、少しでもソイツに抱かれたい気持ちはあったわけ?
そこはどうなの?メイ。」
やべ、ストレートに聞きすぎた。
だが、一度次々に浮かんだ疑問はなかなか脳内から消えてくれない。
「……メイ。
その脚のアザ、去年からずっとあったよな?
そのとき、何があった?」
「関係ない!
蓮太郎、急に何?
矢継ぎ早に質問しないでくれるかしら?」
……オレには分かる。
メイは、何かを隠してる。
去年の空港でのときと同じだ。
声が震えている。
更に、オレがリングを返した後に態度が一変したのだ。
だから、少なくともアザの原因には、何か関係があるはずだ。
「そう言わないで、話してほしい。
今回の事件とも……何か関係があるかもしれないだろう?」
そう言っても、メイは頑なに口を閉ざす。
オレはメイを信用して、何でも話していたのに、メイはオレを信用してないっていうことかよ。
「いつまでも黙って……
オレのこと、そんなに信用してないのかよ?
まだ、心の整理、つかない感じ?
そろそろ知りたいんだ。
メイの身に本当に、何があったのか。」
「ホントだよ。
カクテルの力を借りたとはいえ……遠藤には全てを話したくせにな。」
その声の主は、いつの間にか帰って来ていたらしい村西さんだった。
もう、会議終わったのか?
1時間ほどしか経っていないはずだ。
「メイ。
話してくれないか?
……遠藤に話したこと全て。
……そのアザは、暴行されたときに出来たんだろ?」
……!
……オレにとっても、かなりショックな事実だった。
無理やり犯して、精神的な傷を負わせるだけじゃ飽き足らず、外傷までとは。
男の風上にも置けないやつだ。
心から付き合うことを望んでいない男に暴行されていた?
オレはそんなこと、全然知らなかった。
メイの青紫色に変色しているアザを見たときから疑惑を持ってはいたのだけれど。
そしてそのピンキーリングも、その男からのプレゼントらしい。
リングは束縛のための道具か。
……ところで、村西さんも遠藤さんも、指輪で気付いたみたいな言い方だけど、なぜだ?
全く気づかなかったオレが鈍いだけってこと?
メイと一緒にポンコツだったマリオを中心に特訓してやる。
楽しい時間だった。
このときは。
メイが少し疲れた、と言うので休憩したときのこと。
メイの右手中指にはめてある指輪に気付いた。
オレは、指輪で思い出したことがあった。
昨年の10月。
インキャンの後、空港に行ってメイに会ったあの日。
メイの青いスーツケースの傍らにピンクゴールドのピンキーリングが落ちていた。
バレないように拾ってはおいた。
しかしながら、渡すタイミングを逃してしまった。
厳重に包装して、生徒手帳の中に入れてオレがずっと持っていた。
そのリングを、メイに渡した。
「メイ。
ごめんな?
ずっと渡しそびれてて……」
メイは目を見開くと、オレの手からリングをむしりとるように奪って、言った。
「蓮太郎が持ってくれてたのね。
部屋中ひっくり返しても見つからなかったわけだわ。
普段ならお礼を言うところよ。
だけど今回ばかりはね、これを失くしたおかげで、大変な目に遭ったのよ。」
脚のアザを見ながら言うメイに、オレは何かを勘づいた。
……リングの内側に書いてあった"M・A"という文字。
……メイの、デーティングの相手か?
そのイニシャルの男が、メイを今回こんな目に遭わせた可能性が高い。
メイは、心から付き合うことを望んだワケではないことは明らかだ。
いや、片方が乗り気じゃない行為を無理やり行うのはもはや犯罪だ。
「メイが乗り気だったとは思えない。
もしかして、少しでもソイツに抱かれたい気持ちはあったわけ?
そこはどうなの?メイ。」
やべ、ストレートに聞きすぎた。
だが、一度次々に浮かんだ疑問はなかなか脳内から消えてくれない。
「……メイ。
その脚のアザ、去年からずっとあったよな?
そのとき、何があった?」
「関係ない!
蓮太郎、急に何?
矢継ぎ早に質問しないでくれるかしら?」
……オレには分かる。
メイは、何かを隠してる。
去年の空港でのときと同じだ。
声が震えている。
更に、オレがリングを返した後に態度が一変したのだ。
だから、少なくともアザの原因には、何か関係があるはずだ。
「そう言わないで、話してほしい。
今回の事件とも……何か関係があるかもしれないだろう?」
そう言っても、メイは頑なに口を閉ざす。
オレはメイを信用して、何でも話していたのに、メイはオレを信用してないっていうことかよ。
「いつまでも黙って……
オレのこと、そんなに信用してないのかよ?
まだ、心の整理、つかない感じ?
そろそろ知りたいんだ。
メイの身に本当に、何があったのか。」
「ホントだよ。
カクテルの力を借りたとはいえ……遠藤には全てを話したくせにな。」
その声の主は、いつの間にか帰って来ていたらしい村西さんだった。
もう、会議終わったのか?
1時間ほどしか経っていないはずだ。
「メイ。
話してくれないか?
……遠藤に話したこと全て。
……そのアザは、暴行されたときに出来たんだろ?」
……!
……オレにとっても、かなりショックな事実だった。
無理やり犯して、精神的な傷を負わせるだけじゃ飽き足らず、外傷までとは。
男の風上にも置けないやつだ。
心から付き合うことを望んでいない男に暴行されていた?
オレはそんなこと、全然知らなかった。
メイの青紫色に変色しているアザを見たときから疑惑を持ってはいたのだけれど。
そしてそのピンキーリングも、その男からのプレゼントらしい。
リングは束縛のための道具か。
……ところで、村西さんも遠藤さんも、指輪で気付いたみたいな言い方だけど、なぜだ?
全く気づかなかったオレが鈍いだけってこと?



