メイを起こさないように、抜き足差し足でリビングに降りてみると、村西さんが深夜番組を観ていた。

「村西さん、ですよね? メイを助けたの。
すみません……。
オレ……何も……出来なくて。
自分が情けないです。」

「……今回のことは、誰も悪くない。
だから、お前もあまり自分を責めるな。」

村西さんはそうは言ったけど、
オレにはメイを好きでいる資格などない。

『メイがこの2・3日、ずっとオレに会いたがっていた』
村西さんから電話でそう聞いたときに、特にそう思った。
だってオレは……罪滅ぼしで幼なじみと身体を重ねてしまったのだから。

「オレは……メイを好きでいることなんてできませんよ……
最低な人間ですから。

メイ、という気になる子がいるのに、その存在を幼なじみの女の子に重ねた。
そして幼なじみを身代わりにするみたいな抱き方、したんですから。」

自嘲するように言うと、一筋の涙がゆっくりと頬を伝った。

そう言って、村西さんにハナとの行為を全て話した。
村西さんはその間ずっとオレの肩を抱いてくれていた。
レンも、その幼なじみ2人も悪くないって言ってくれて、少し救われた気持ちになった。

……ここでは今、深夜2時だ。
……もう、日本にいるハナたちは部室に向かっている頃だろう。
……ちょっと電話を掛けてみるか。

何回目かのコール音。

その後に、明るい声が響く。

『レン?
ごめん、職員室に部室の鍵を取りに行ってたから、なかなか出れなくてごめん!」

「ハナ?
今……時間あるか?」

『レン!
ねぇ、本当に大丈夫?
必要以上に自分を責めたりしてない?
皆、レンは責任感が強いから、余計な荷物も全部引き受けて抱えちゃうんじゃないか、って心配してたんだ。

一番悪いのはその……えっと、メイちゃんって子をそんな目に遭わせた男なんだから。
だから、レンはいつも通りのレンでいいの!
そんなレンを好きになったんでしょうから。
その、メイちゃんも。
わかった?』

なんで知ってるんだ。
女の勘、ってやつか?

「あぁ……ありがとう。
心配かけたな。
ミツにも、よろしく伝えてくれ。
……アメリカから帰る頃に……また連絡する。」

わかった、無理はしないでほしいという声を聞いて、オレの方から電話を切った。

……すると、リビングのドアがゆっくりと開いてパジャマ姿のメイが姿を見せる。

「ごめんな?
メイ……うるさかった?
……起こしちゃったんなら……本当にごめん。」

「ううん。……そんなんじゃないの。
それで起きたんじゃないわ。
怖い夢見て……目が覚めちゃっただけだから。」

しゅん、と眉を下げるメイ。
その顔が可愛い。
メイの精神状態がこんなんじゃなかったら、確実に理性は飛んでいるだろう。

視界に入らないようにはしていたが、パジャマから2つの膨らみの頂が透けている。

オレがアメリカに来て間もない頃。
たまにオレの家に来て、いろいろサポートしてくれたメイ。
このときは、ここまで膨らみの大きさはなかった。

成長する過程を、隣で見たかった気もする。

やはりオレも男だ。
近くでそんなもの見せられて、反応しないほうがどうかしている。
オレの下半身の硬さと大きさ、メイにだけは悟られないようにしないとな。