メイの家はオートロックだ。
メイに解除してもらい、解除した証として村西さんの携帯電話を鳴らしてもらった。

「お邪魔します……」

靴を脱ぎ、2階にあるメイの部屋へ向かう。
村西さんはリビングにいるという。

2人きりにしてくれる配慮がまた、大人の余裕を感じさせる。
そっとドアを開けて顔を出すと、毛布が人の形に膨らんでいるが目に入った。

「メイ!
ごめんな?
本当は……2日前に来れれば良かったな……
……何せ今6月20日になったばかりだからね。」

「蓮太郎……」

ちら、と毛布から顔を出したメイ。

……メイの瞳が腫れている。
泣き明かした……のか?
性暴力被害を受けてからの2・3日……。
父親の死を知ったときも、彼女は今ほどは泣かなかった。

「フルネームの次は名前呼び捨てって……さ。
まぁ、可愛いし彼氏感が出せるからからオレは好きだけど。
あと、あんまり毛布にくるまってるなよ。
息できなくなるぞ?」

オレは、部屋に入るなりメイの身体を毛布の上から強く抱きしめた。
骨が折れるんじゃないか、っていうくらいにさらに強く、メイを抱きしめる。
そして、強く心に誓った。

……この女、メイは、オレが一生守る……と。

「メイ。
一昨日、17歳になったばかりなのにな。
楽しい思い出、たくさん作りたいだろうに、こんな思いさせて……ごめんな?」

「謝らないでよ……
蓮太郎……
私は汚れちゃったけど、蓮太郎のせいなんかじゃない……」

メイはそれだけを言うと、毛布から泣き腫らしてメイクがぐしゃぐしゃの顔を出して泣き崩れた。
くそ、久しぶりに再会して、見る好きな女の顔が、笑顔じゃなくて泣き顔とは。
最悪だ。

メイが落ち着くまで背中を優しく叩いたり、頭を撫でたりしながらずっと抱きしめていた。
メイは泣き疲れて眠ってしまった。

オレの膝枕で眠る彼女。
抱きしめたときに豊かな膨らみの感触を感じたためか、下半身が少し硬さを増してきている。

無理やり、好きでもない男に性欲処理のはけ口にされて、何より傷付いているのはメイだ。

その本人を抱きしめただけで、いとも簡単に欲情するとは。
情けない。
CかDカップはあるだろうか。
そんな胸の感触に、あらぬ妄想が一瞬広がったのは認める。
初めては、知らない男などではなく、俺が奪いたかった。

……翌日に切れ長の瞳のまわりが腫れてしまわないように、冷やしたタオルをメイの目に当ててやる。
そっと抱き上げて、ベッドに寝かせてやる。
毛布をかけ直すと、小声で「おやすみ」を言って部屋を出た。