〈柊 志穂side〉
「株式会社グラッドコンフォート」のスタッフとして、株式会社ルミナス社員、南 明日香さんとプロデュースする店舗について話をする日のお昼。
早めに、というか朝昼兼用のご飯を食べた後、別の打ち合わせから帰社するために乗った電車のホームで、男に絡まれていた美人の女性。
何かの拍子にぶつかったらしく、因縁をつけている。
因縁をつけられた女性の方は、これから仕事に向かうらしく、困り果てていた。
「ちょっと!離してやりなよ。
嫌がってるじゃん。
嫌がってるのがわからないなんてアンタの目こそ腐りきってるんじゃないの?」
男に啖呵を切る。
掴みかかってきたので、これ幸いとばかりに合気道の技をかける。
肘を制して、そのまま相手をねじ伏せる。
周囲の乗客も、絡まれていた女性も、私が呼んだ駅員さんもポカーンとしていた。
コイツは、ぶつかってきた客に因縁をつけてしょっちゅう喧嘩していた迷惑客だったらしい。
自業自得だ。
たまたま駅で助けた女性が、打ち合わせの相手である南 明日香さんだった。
なんていう偶然。
私より背も高くて、スタイルもいい。
オフィスカジュアルな洋服がブラウスにワイドパンツがよく似合っている。
私もこんな美人だったら、康一郎は振り向いてくれたのかな。
打ち合わせは終えた。
ずっと実店舗の形で、店が閉店してから新しい店がオープンするまでの空きテナントを貸してもらう形で、ファッションブランドを立ち上げる話で進んでいた。
今の時代、ホイホイとアパレルショップを新規出店したところで売上になるか、保証はできない。
ネットショップで立ち上げる方向に話が進み、次回の打ち合わせまでに良いアイデアを2人で考えることとなった。
「あの……柏木 康一郎さんって……ご存知ですか?」
打ち合わせを終えて、エレベーターホールまで見送る道すがら、明日香さんから聞かれた。
知ってるに……決まってる。
私が……ずっと密かに……想いを寄せている人だもの。
もう離れてしまって、当てつけのように違う人と付き合ったけれど、うまくいかなかった。
束縛も相当なもので、私が父親と電話しているだけでも妬いて、何度も平手打ちをされた。
ありえないだろうけど、考えてしまう。
康一郎も、同じことを?
いいや、それは絶対にありえない。
そう思うけれど、自信はない。
明日香さんから目を背ける私の目を、しっかりと見つめて、ストレートな言葉をぶつける明日香さん。
「志穂さん。
さっき、私を絡まれた人から助けてくれたときはすごくカッコよかったのに。
合気道、でしたっけ?
私は疎いから無知なんで、変なことを言ったらすみません。
そういう武術を人にかけるの、緊張もするし反撃されたら怖いのかな、相当の勇気がいるんだろうな、って思っちゃうんです。
その勇気を、私の義理の兄に対して、ほんの少しでいいから出してくれれば。
それで、いろいろうまくいく気がしているんです。
自信、持ってください。
志穂さんなら、きっと正直に気持ちを伝えられますよ。
頑張ってください!」
何でだろう。
この人の……明日香さんの言葉は、スッと心の中に入ってくる。
不思議な力を感じた。
「すみません!
長話を……
それでは、これにて失礼いたします。」
「明日香さん、さっきのは、見ていられないと思ったら、身体が勝手に。
また、何かあったら連絡ください。
本日はありがとうございます。
それでは、失礼いたします。」
取引先で長話をしてしまったことを気にしているのだろうか、少し顔を伏せながら、エレベーターに乗って帰って行った明日香さん。
不思議な人だったな。
なんか、勇気と仕事へのやる気が出てきた!
仕事を早く終わらせて、海に行くぞ!
「株式会社グラッドコンフォート」のスタッフとして、株式会社ルミナス社員、南 明日香さんとプロデュースする店舗について話をする日のお昼。
早めに、というか朝昼兼用のご飯を食べた後、別の打ち合わせから帰社するために乗った電車のホームで、男に絡まれていた美人の女性。
何かの拍子にぶつかったらしく、因縁をつけている。
因縁をつけられた女性の方は、これから仕事に向かうらしく、困り果てていた。
「ちょっと!離してやりなよ。
嫌がってるじゃん。
嫌がってるのがわからないなんてアンタの目こそ腐りきってるんじゃないの?」
男に啖呵を切る。
掴みかかってきたので、これ幸いとばかりに合気道の技をかける。
肘を制して、そのまま相手をねじ伏せる。
周囲の乗客も、絡まれていた女性も、私が呼んだ駅員さんもポカーンとしていた。
コイツは、ぶつかってきた客に因縁をつけてしょっちゅう喧嘩していた迷惑客だったらしい。
自業自得だ。
たまたま駅で助けた女性が、打ち合わせの相手である南 明日香さんだった。
なんていう偶然。
私より背も高くて、スタイルもいい。
オフィスカジュアルな洋服がブラウスにワイドパンツがよく似合っている。
私もこんな美人だったら、康一郎は振り向いてくれたのかな。
打ち合わせは終えた。
ずっと実店舗の形で、店が閉店してから新しい店がオープンするまでの空きテナントを貸してもらう形で、ファッションブランドを立ち上げる話で進んでいた。
今の時代、ホイホイとアパレルショップを新規出店したところで売上になるか、保証はできない。
ネットショップで立ち上げる方向に話が進み、次回の打ち合わせまでに良いアイデアを2人で考えることとなった。
「あの……柏木 康一郎さんって……ご存知ですか?」
打ち合わせを終えて、エレベーターホールまで見送る道すがら、明日香さんから聞かれた。
知ってるに……決まってる。
私が……ずっと密かに……想いを寄せている人だもの。
もう離れてしまって、当てつけのように違う人と付き合ったけれど、うまくいかなかった。
束縛も相当なもので、私が父親と電話しているだけでも妬いて、何度も平手打ちをされた。
ありえないだろうけど、考えてしまう。
康一郎も、同じことを?
いいや、それは絶対にありえない。
そう思うけれど、自信はない。
明日香さんから目を背ける私の目を、しっかりと見つめて、ストレートな言葉をぶつける明日香さん。
「志穂さん。
さっき、私を絡まれた人から助けてくれたときはすごくカッコよかったのに。
合気道、でしたっけ?
私は疎いから無知なんで、変なことを言ったらすみません。
そういう武術を人にかけるの、緊張もするし反撃されたら怖いのかな、相当の勇気がいるんだろうな、って思っちゃうんです。
その勇気を、私の義理の兄に対して、ほんの少しでいいから出してくれれば。
それで、いろいろうまくいく気がしているんです。
自信、持ってください。
志穂さんなら、きっと正直に気持ちを伝えられますよ。
頑張ってください!」
何でだろう。
この人の……明日香さんの言葉は、スッと心の中に入ってくる。
不思議な力を感じた。
「すみません!
長話を……
それでは、これにて失礼いたします。」
「明日香さん、さっきのは、見ていられないと思ったら、身体が勝手に。
また、何かあったら連絡ください。
本日はありがとうございます。
それでは、失礼いたします。」
取引先で長話をしてしまったことを気にしているのだろうか、少し顔を伏せながら、エレベーターに乗って帰って行った明日香さん。
不思議な人だったな。
なんか、勇気と仕事へのやる気が出てきた!
仕事を早く終わらせて、海に行くぞ!



