頷いたあたしに、目を覆っていた先輩の手のひらがすっと取り除かれる。

急に明るくなった視界は少しの間ぼやけていたけれど、だんだんとはっきりし始めて。


初めに飛び込んできたのは、色素の薄い綺麗な瞳だった。


少しだけ不安そうに瞳を揺らして、それでもまっすぐに透き通るような目。

何も考えられなくなるような不思議な魅力をもっていて、あたしはそっと目を閉じた。


「、んっ」

唇に柔らかいものが触れて、小さく声が漏れる。

壊れ物を扱うようにそっと、優しくキスをされた。


この前は気付かなかったけど、キスって甘い。

とろけるような気持ちになって、全部全部、先輩に預けたくなるなんて。


不思議で危険な産物だな、と思った。



お祭りはちょうどクライマックスで、いつの間にか打ち上げられ始めていた花火も、大きくて壮大なものになっている。

空が明るく眩しいのが、目を閉じていてもわかった。