「今日も放課後オレん家こいよ!」

「おう!ゲームやろーな!」


コイツ…北上 啓は、男友達。

…じゃなくて、あたしの好きな人。


啓は何にも思ってないだろうケド。


「そうね」


休み時間、あたしの親友こと恋愛マスターの恋香に相談した。


「やっぱりか〜」


「あ、ちょっと待ってて」

「ちょっと」


恋香が見知らぬ男に声をかけた。


男が振り向くと、ニコッとした笑顔で、


「これ、落ちてたよ。木村くん」


「あ、サンキュー」


「も〜!あたしの方が先輩なんだから、敬語使ってね。あ、それと、サッカー頑張ってね!」


くるりと方向を変えて、あたしの方に来た。


「真理〜!遅くなってゴメン!」


「別にいーよ。あ〜いーなー…恋香はモテて」


「別にモテてないよ。ただ自分が思ってるだけ行動してるだけだし。落ちてたハンカチを拾うのはあたりまえでしょ?」


コレだから恋香はモテるんだよ。

優しいし、可愛いし、真っ直ぐしてるし、何事も丁寧だし、真面目で努力家だし。


運動はちょっと下手だけど、あたしと正反対。


あたしはガサツで、バカで、意地悪で、ブサイクで……って、数えたらキリがない。


「でもいいなぁ〜真理は。男子と気軽に話せて、運動上手で」


「そんな…あたしは…」


「そんなことより!本題入るよ!」


「うん…」


「“男友達”と“好きな人”の差は難しいよね。ありがちな話だと、両思いになるパターンだけど、今の状態は、真理が好きなだけって感じ」