光貴には、「何もねぇよ。」としか言わなかった。 こんな返事で、納得できるはずはない。 でも、光貴は「そうか。」と言って自分の席に戻って行く時「俺は、一番大事なのは由希。その大事な由希が守ろうとしているものは、俺も全力で守るよ。」 そう呟いて戻って行った。 光貴は、予感していたんだろう。 姫野が傷付くのを。 そして、親友である光貴の彼女、一色が姫野を心配して悲しむ事を。 それが、姫野の事が死ぬほど大事で、誰よりも傷付けたく無いと思っている、俺が原因になることも。