チッ!!
姫野の様子がおかしい。
桐原との関係に気づいたのか?
いつもは、鈍いくせにこんな時ばっかり気づくなんてあり得ないだろうが。
クソッ!!
…桐原綾乃、名前なんて覚えてねぇ。
顔だって、よく覚えてねぇし。
何で、この学校に来た?
偶然なのか?
何で今更、こいつと再会しなきゃならねぇんだ。
俺は、後腐れの無い年上だけ相手にしてたのに、こいつは年を誤魔化して、俺に近づいて来た。
夏休み中で、私服を着ていて化粧もしてた。
『あなたの噂は聞いてるわ。年上しか相手にしないんでしょ?私は、高1よ。』
その言葉を鵜呑みにした。
俺が馬鹿だったんだ。
いつもだったら、もっと年上の女を相手にしてたのに
やることやって帰ろうとしたら…
『葉山莉紅君。私、あなたが好きなの。付き合って。』
『はっ?何言ってんの?噂聞いてんなら、一度きりで終わりってことも知ってんだろ?お姉さん。』
『私、お姉さんじゃないわ。あなたと同じ年よ。本当は。こういう事も初めてだったの。』
『笑えねぇ、冗談やめろ。』
『冗談なんかじゃないわ。これが証拠よ。』
