ボンヤリと考えごとをしていると…誰かとぶつかってしまった。


「ご…ごめんなさい…」


慌てて頭を下げて顔を上げると、極道の雰囲気の怖そうな顔をした背広姿のオジサン達。


「あぁ?…お嬢ちゃん、謝るだけかぃな?」眉間に皺を寄せた、変な訛り。


「よく見ると、べっぴんやさかぃ…」
ニヤリとイヤラシく笑った、もう1人の男の歯がギラリと光って見えたのは、きっと1本だけ銀歯があったからだろう。


……嫌な人達に捕まってしまったな…どうしよう?


オロオロとしてる間に、変な訛りのオジサンが、「お嬢ちゃん、ワシらと一緒に何処か、行こうや〜」

はぁ〜…はぁ〜…と息を吐く度に、私の鼻につく。


(…!?このオジサン、口臭い…)


私は思わず、鼻を手で塞いだ程。


「何や?…お嬢ちゃん、なしたんや?」

(近づかないで…)


余りの臭いに我慢出来ずに、ブンブンと首を左右に振り、涙が出て来た。


こ……怖いっ!


誰か……


誰か、助けて!!