Love story

「少し傷ついた。
彼女出来たの中学以来だし、大事にしようってちょっとはりきってたから。
で、莉乃なら幼馴染だし俺のことわかってくれてるから愚痴聞いてもらおうと思って…。
ちょっと利用しようとしてた、ごめん。」



ミニテーブルに頬杖をついて少し俯きながら話す敦。
利用でも、敦があたしを必要としてくれたことが嬉しかった。



「ねぇ、敦。」
「ん?」
「あたしじゃ、だめ?」
「え?」
「あたしは敦がバカがつくほど野球好きなのを知ってる。
野球しているときが一番輝いているのも知ってる。
あたしは野球してる敦が好き。
敦さえそばにいてくれるなら全部受け入れられるよ。」



真っ直ぐに敦を見つめて想いを伝える。
敦は少しだけ顔を赤くした。
そしてゆっくりあたしを見て小さな声で言った。




「ちょっとだけ、考えさせて。」
「…うん。」





たとえ彼女になれなくても敦が幸せになれればいい。
綺麗事かもしれないけれど、そばで敦の幸せを願っていたい。



「おはよ。」
「おはよー。」
「あのさ、俺の彼女になりませんか。」



照れくさそうに言う敦に駆け寄って、手を握る。



「喜んで。」



この先何があっても縮めた距離を広げないように、手を繋いで歩いていこう。





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