特に可愛いわけでもないし、自慢できるような特技もない。
毎日学校に行って、友達と過ごして、授業を受けて…。
休日は買い物に行ったり、遊んだり。
ごく普通の生活、ごく普通のあたし。





その、ごく普通な生活を変えたのは貴方だった。




【act.1:恋】






4月、入学式。
中学校の友達とは離れ、あたしは県内の地元から少し離れた私立高校に入学した。
周りにはあたしと同じ制服をきちんと着ている生徒達。
長々とした校長の話は眠気を誘った。
必死に寝てしまいそうなのを堪えていると校長の話は終わったらしく、舞台には一人の男子生徒。
どうやら生徒会長らしい。



「えー、皆さん!ご入学おめでとうございます。
生徒会長の狭霧です。
この学校の行事は主に生徒会を中心に作業したりしてるんで、もしこういうことがしたい!ってことがあったら気軽に言ってくださいねー!
俺らも頑張って楽しい学校を作ってくんで、皆さんも協力してください。
以上、生徒会長からでしたー」



堅苦しくない挨拶に生徒達も好感を持ったみたい。
生徒会長は「生徒会を宜しくねーっ」っと笑顔を振り撒きながら舞台を後にした。