「全く覚えていないんです……自分がどこから来たのか……」


「そうですか……」


男の人は納得してくれたようだ。


「行き先は……」


「ありません」


男の人は少し考える振りをしてから言った。


「じゃあ、しばらく私たちについてきてください。落ち着けば何か思い出す事もあるでしょうから」


「そっ、総司………」


もう1人の男の人が驚いた様に言う。


「しょうがないじゃないですか。第一、何か問題起こされたら大変でしょ?」


「そうだが……」


「まぁまぁ、いいじゃないですか土方さん」


一方の夏美はと言うと……


(お腹すいた………)


この人、どこまでマイペースなんだ。