「ちょっといいか、夏美」


その夜、土方は夏美の部屋を訪れた。


「はっ、はい。どうぞ」


スッ


「失礼する」


静かに土方は入ってきた。


「何の御用でしょう」


夏美はどきまぎしながらも聞いた。


土方は重々しく口を開いた。


「実はな、今日男の2人組にお前らのことを聞かれた」


不意にドキッとした。


まさか、自分らがこの時代の人間じゃないとバレたのか。


「とりあえず、適当にごまかしておいた。だが、気をつけとけ」


「………はい……」


自分のせいで新撰組の皆に迷惑がかかるのが嫌だった。


気がついたら泣いていた。


「おい、大丈夫か」


「わっ、だ、大丈夫です!!」


慌てて涙を隠す。


土方が着物の袖で涙を拭った。


一気に心臓の鼓動が大きくなった。


顔が真っ赤になるのがわかる。


(ちょっ、ちょっと待て自分!)