その時


バタタタッ


いきなり蝉が部屋の中に入ってきた。


「ひゃっ!!」


夏美には珍しく、まともな悲鳴を上げた。


「はっはっは、なんだお前蝉が怖いのか?」


今度は夏美の顔が真っ赤になった。


「ちょっとビックリしただけですよ!!」


その蝉は庭の木にとまり、鳴き始めた。


「そうか、夏かぁ………」


「夏ですね………」