「誰かに言ったらどうなるか…
…わかるよな?」

逆らえない雰囲気

「誰にも言わないよ…」

「聞き分けがいいな」

「なんて…」

「は?」

「言うわけないだろーっ!!
親にも友達にも先生にも言ってやるっ!!」

これで冴木はもう
私に関わらないと思った

言わないでください
ってお願いするくらいだと
思った

なのに…

「はぁ…」

冴木はこっちを見て
大きくため息

「どうしても
俺の言う事が
聞けねぇのか?」

聞けませんよーだっ

「全部言ってやるっ!!」

私、もう勢いだけで
言葉を発した

「ふ…
ばかが」

また押し倒す気?
2度も同じ手が効くかっ
華麗によけたるわいっ

…うっそー

冴木の手が…
後ろに?

私の背中には冴木の手

に、逃げられないー

こうなったら足を踏んで

「!?」

目の前に冴木の整ったドアップの顔
そして唇には
柔らかくて温かい感触

まさかだけど
もしかしたらだけど

キス…してる?

背中を支えてる手とは
逆の手で頭を抑えられ
身動きが取れない

「冴木っ…なにしてん…んむっ!!」

私が口を開けた瞬間
口の中になにかが
スルリと侵入してきた

「やめっ…んあっ…」

「舌、絡めろよ」

もう私の思考は
完全に停止

逃げる事で必死だった

「逃がすかよ」

「んっ…ふぅ…」

冴木の舌が私の舌を
追い回し、逃げ切れない

「も…だめ…息できな…」

そこから私の記憶は
途絶えた

「…あれ?
やりすぎちゃった?」