同調が強ければ強いほど、彼らの影響をもろに被ることになるのだ。
 そして、『大地の王』がその勤めを放棄しているのに等しい今、大地の<気>の流れも滞り、精霊たちの力は損なわれ、日々弱まっていた。

 だから、精霊の愛し娘も弱っていく。

 正当な訓練を受けた精霊使いなら、精霊との同調を断ち切り、己のが身の安全を図ることができるが、訓練を受けていない幼いセラスヴァティー姫にはそれは叶わない。自分の自由にはならないのだ。

 無理だと知りながらも、サーナは哀願していた。

「そうでないと、このサーナの方がどうにかなってしまいます。お願いですから」

 涙がぼろぼろとサーナの頬を流れていた。

「ごめん、ごめんね、サーナ」

 小さな手が慰めるようにサーナの髪をまさぐる。

「ちゃんと食べるから。だから、泣かないで。かなしまないで、サーナ」

 しかし、けっきょく、その晩、セラスヴァティー姫がなんとか口にしたのは、スープを二口、三口程度だった。