野営地のはずれに、クレイドルは一人膝を抱えて座り込んでいた。ゆるやかな丘陵のふもとであるここから、王宮のある南の空は赤く不吉な色に染まってみえた。もう夜半過ぎだと言うのに。
ふいに彼の後ろから声がかかった。
「そんなところでいつまでもいると風邪を引いてしまうぞ」
クレイドルの後ろにこっそりとにじり寄っていたのはセイファータ公爵の嫡子エイクであった。
彼の父のセイファータ公爵は野営地に着くや否や寝込んでしまい、出来の悪すぎる息子として有名な彼は、父の代理をそれなりに果たして見せ、周囲を妙に感心させてみせた。
「放って置いてください」
振り返りもしないクレイドルの素っ気無い態度に、エイクは舌打ちをする。
「ちぇ、驚かないか」
「当たり前です。僕を誰だと思っているんですか」
「それならいつまでも拗ねてるもんじゃないなあ。女の子たちのほうがよっぽど強いよ。リュイス君はもったいないことをする」
リュイスに拒絶され泣くばかりだったサーナを叱咤したのは、アディリだった。
ふいに彼の後ろから声がかかった。
「そんなところでいつまでもいると風邪を引いてしまうぞ」
クレイドルの後ろにこっそりとにじり寄っていたのはセイファータ公爵の嫡子エイクであった。
彼の父のセイファータ公爵は野営地に着くや否や寝込んでしまい、出来の悪すぎる息子として有名な彼は、父の代理をそれなりに果たして見せ、周囲を妙に感心させてみせた。
「放って置いてください」
振り返りもしないクレイドルの素っ気無い態度に、エイクは舌打ちをする。
「ちぇ、驚かないか」
「当たり前です。僕を誰だと思っているんですか」
「それならいつまでも拗ねてるもんじゃないなあ。女の子たちのほうがよっぽど強いよ。リュイス君はもったいないことをする」
リュイスに拒絶され泣くばかりだったサーナを叱咤したのは、アディリだった。

