「どこに行くのですか」
声に振り向けば、そこに精霊使いの若き長の姿があった。
「クレイドルか、セラスヴァティー姫を探しに行く。封の館には戻っていないのだろう?」
「ええ、今のところは。当てがあるのですか」
「いや。だが、『封の館』に戻っていないのなら、そんなに遠くまで行ったとも思えない」
ふとリュイスの表情が和らいだ。まだ姫君が体調を崩す前、こっそりと遠乗りに連れ出したことを思い出す。
あのとき姫はとても喜んではしゃぎ、何を見ても珍しがった。馬の前鞍に乗せた小さな姫の身体の温かみを今でも昨日のことのように思い出せる。
だのに、今になって見失うなど決してあってはならない。
「姫君がご存知の場所などたかがしれている。近隣を虱潰しに探す」
リュイスは精霊による移動がが精霊使い自身が知っている場所にしかいけない技だとまでは知っていた。
しかし、目的地を確定できない場合どうなるのかまでは知らなかったし、あえてクレイドルに尋ねようともしなかった。
クレイドルもまたあえて説明しようとはしない。
声に振り向けば、そこに精霊使いの若き長の姿があった。
「クレイドルか、セラスヴァティー姫を探しに行く。封の館には戻っていないのだろう?」
「ええ、今のところは。当てがあるのですか」
「いや。だが、『封の館』に戻っていないのなら、そんなに遠くまで行ったとも思えない」
ふとリュイスの表情が和らいだ。まだ姫君が体調を崩す前、こっそりと遠乗りに連れ出したことを思い出す。
あのとき姫はとても喜んではしゃぎ、何を見ても珍しがった。馬の前鞍に乗せた小さな姫の身体の温かみを今でも昨日のことのように思い出せる。
だのに、今になって見失うなど決してあってはならない。
「姫君がご存知の場所などたかがしれている。近隣を虱潰しに探す」
リュイスは精霊による移動がが精霊使い自身が知っている場所にしかいけない技だとまでは知っていた。
しかし、目的地を確定できない場合どうなるのかまでは知らなかったし、あえてクレイドルに尋ねようともしなかった。
クレイドルもまたあえて説明しようとはしない。

