貴族たちの中心人物であるはずのセイファータ公爵も『王の間』で負傷し、顔には出さ
ないが酷く怯えているようで、リュイスの指示に異議を唱えなかった。
また消火に王宮に足を踏み入れたものたちの状態がそれに拍車をかけていた。彼らのほとんどはなぜか恐慌状態で逃げ戻った。
しかも口々に幽霊だの悪霊だのと怯えて泣き叫ぶばかりで、筋の通った説明ができるほど正気のものなどいなかった。中にはそれきり戻ってこないものもいた。
王宮自体はいまだに揺れているようだったが、広間を襲った地震かと思われた異変は、王都には何の影響も及ぼしていなかった。
リュイスは王都の民には『大地の王』は己の罪を悔いて自害され、王妃と王子はその後を追ったとだけふれるように命じた。
あれだけの者たちの目の前で起こったことだ。
そのうえに王宮の状態はいまだ尋常ではない。
緘口令を引いたとて、王が呪いをかけたと言う真実はいずれ伝わるだろうが、民に無用な心配をさせることはない、ほどなく次代の王が聖別され、それですべてが解決するというのが、リュイスの見解だった。
自信ありげな態度にほとんどのものが騙された。一部の例外を除いて。
だから、野営地が宵闇に包まれ始めた頃、馬を連れて抜け出そうとしたリュイスは背後から呼び止められて少しばかり驚いた。
ないが酷く怯えているようで、リュイスの指示に異議を唱えなかった。
また消火に王宮に足を踏み入れたものたちの状態がそれに拍車をかけていた。彼らのほとんどはなぜか恐慌状態で逃げ戻った。
しかも口々に幽霊だの悪霊だのと怯えて泣き叫ぶばかりで、筋の通った説明ができるほど正気のものなどいなかった。中にはそれきり戻ってこないものもいた。
王宮自体はいまだに揺れているようだったが、広間を襲った地震かと思われた異変は、王都には何の影響も及ぼしていなかった。
リュイスは王都の民には『大地の王』は己の罪を悔いて自害され、王妃と王子はその後を追ったとだけふれるように命じた。
あれだけの者たちの目の前で起こったことだ。
そのうえに王宮の状態はいまだ尋常ではない。
緘口令を引いたとて、王が呪いをかけたと言う真実はいずれ伝わるだろうが、民に無用な心配をさせることはない、ほどなく次代の王が聖別され、それですべてが解決するというのが、リュイスの見解だった。
自信ありげな態度にほとんどのものが騙された。一部の例外を除いて。
だから、野営地が宵闇に包まれ始めた頃、馬を連れて抜け出そうとしたリュイスは背後から呼び止められて少しばかり驚いた。

