揺らぐ幻影


結衣は恋愛慣れしていないので、まんまとイケメンにおだてられて流されているに違いない。


もう少し、垢抜けていない素朴な人が似合っている。

ゆっくりと誠実な恋愛をしてほしい。


それに引き換え、ふわふわした髪の男は手が早そうだ。

結衣に触れようと手を伸ばすなら、ちゃんと阻止して拉致しようと息を潜めて待っていた。


……そして、

うちの店のオススメコーディネートに身を包んだ結衣の淡い笑みは幸せそうで、

あんな風に笑うなんて十数年間一緒に居た癖に初めて知った。


シスコンのつもりはないけれど、なんだか見ず知らずの男に無性に腹が立った。

初恋を弄ぶなと怒鳴ってやろうかと思った。


けれど――