漠然と好きだった。
単純に容姿にときめいていた。
そう、近藤洋平の何が好きかと言われたら、最初はよく分からなかった。
けれど今、
大切な気持ちがきちんとある。
笑った顔が好き。
普段表情が硬いせいか、柔らかな顔になった瞬間、もう駄目になる。
彼を笑顔にさせられる女の子になりたくなる。
オチをつける話し方が好き。
面白くない内容も話術で一新、彼の言葉はいつも結衣を爆笑させる。
人を和ませることができる彼が好きだ。
語らないから好き。
いつも男子はモテアピールなのか知らないが、恋愛や将来について持論を片手に聞いてもいないのにぺちゃくちゃ熱弁する節があるけれど、結衣はそれが極めて苦手。
特に語らなくても魅力的な彼が凄く好きだ。
批判しないから好き。
たいてい男子は――例えば街行く他人の中に特徴ある見た目の人が居たら、失礼なのにイジって下品に笑うけれど、
彼はそういう低レベルなことをしないし、そんな人を結衣みたいに嫌悪せず見守ってあげるから好き。
メールがこざっぱりしているから好き。
デコメールや絵文字乱用されたり、喋る時とは別人のテンションだったら引くけれど、
基本句読点でそっけない文体なところの見た目との違いが好き。
あんまりガツガツしてないから好き。
モテてますオーラを出したような自信満々な傲慢さを感じないから好き。
彼のありのままな雰囲気が好き。
オシャレだから好き。
過剰ではなく程々に引き算ができているからセンスが光る。
必要以上に我を出さない彼が好き。
ネタが通じるから好き。
価値観や趣味嗜好が似ているから共感ばかりしてしまう。
同じツボで笑えるから彼が好き。
ドキドキするから好き。
ほら、結衣は近藤が大好きだ。
たった二ヶ月足らずでこんなにもハッキリ好きだと言えるようになった。
さすがに愛してるなんて言えない。
だって、たちまちこの恋心がチープに染まってしまうから、愛はまだ語りたくない。
今の結衣が愛を唱えれば痛いだけ。
今の結衣に似合うのは、胸を張って大好きだと言うことで、
それで十分幸せだ。
等身大に名言はいらない。
キラキラ純愛はつまらない。



