放課後デート、二人乗り、夜遊び、早朝学校、二人で遅刻、じゃれあう、
理想のシチュエーションを何の気なしにやり遂げる隣の女の子が嫌だった。
更に放課後と言った。
二人は今日の午後にまた何か一緒に作業をするのだろうか。
結衣が入れないアトリエで二人っきりなのだろうか。
「何の話ー?」
必死だった。置いて行かないでほしくて静香に尋ねた。
浅ましいと自身に引くけれど、しょうがないじゃないか。
だって嫌だ、好きな男の子がカワイイ女の子と仲良くなるのを見たくない。
これは努力でしょう?
彼の隣に違う人が並ばないよう阻止するのは正当性があるでしょう?
間違っていないはずだ。
黙って羨むのではなく、頑張って邪魔者の足を引っ張る、これは努力でしょう?
成長したから、「何するのー」と聞けたし、大人に近付けたから本当は大嫌いな女子に笑える。
これは正しい努力でしょう?
落ち込まないだけ偉い、そうでしょう?
結衣は静香を真っ直ぐに見つめた。
「静香って一応才能生徒じゃん? よーぺーにアドバイスしてるんだよねー依頼、信頼」
スローモーションに紡がれる一言一言を直接理解する。
つまり、近藤は学年末テストよりも相当デザインの方面を頑張っているらしい。
結衣にはテストの話しかしなかった癖に。
静香には言うのに言ってくれなかった。結衣には勉強の話しかしてくれなかった。
静香は詳しく知っているのに、結衣は何も知らない。
それはクラスメートだから?
違う、だってそれなら市井に聞けばいいじゃないか。
愛美の彼氏のことや里緒菜の失恋のこと、大塚の好意のこと、
何も知らなかった自分の幼さとリンクした。
もう、いや
なんで、
不意に深い茶色をした瞳と目が合った。
大好きな近藤の表情は気持ち引き攣っていて、失笑という表現がぴったりで、全然かっこよくなんてなくて、
なぜか皮膚の裏側がざわざわして身体がおかしい。
そして綺麗な唇が動いて――
「静香ちゃんないわ、てか田上さん服コんこと関係なくね? こっちはプロの卵ですから本気なんだよね? はは、個人情報保護法をご存知で?」
甘い甘い声だった。



