パジャマに凝るのが好き。
眠るためだけにこだわれるのは、とても贅沢だと思い込む単純な結衣は、
薄いピンク色のドットがぶりっ子可愛いものを最近は愛用中だ。
携帯電話にはYのイニシャルが揺れる女子高生らしいストラップが飾られている。
近藤は知っているだろうか。
眠る前に保護メールを読み直す少女が居ることを。
二人の文字会話には色恋沙汰はゼロ、男女らしさがないが、
彼のユニークな発言が面白くてウケを狙う笑いのオチが彼女に似ているため、
まるで結衣が結衣とメールをしている気分になる。
なぜだか近藤と波長が合い、
笑わせたいからわざと彼女が変なことを言うと、負けじと彼もウイットに溢れた言い回しで被せてくるため、
結衣は笑顔になる。
どんなに受信文の意図を歪めようが甘いムードはないのに、どういう訳か好きな人を想い酔いしれることができる。
明日のために眠ろうと、寝返りを打った。
電気を消しても遮光カーテンの隙間から注がれる明かりで、
暗い部屋でもうっすらと家具が見え、実のところ世の中に暗闇なんて多分ない。
けれど、携帯電話を開くと、もう視力は眩しい画面に集中し周りが真っ黒になり、
さっきまで夜目で辛うじて見えていた物たちが消える不思議。
よって、結衣はひいき目で観るから燦然とした近藤を前にすると、周りの者が映らなくなる。
つまり、あなたしか存在しなくなる。
世界に好きな人しか居なくなる、それはきっと恋する少女の自然現象だ。
好きだ。
近藤と付き合いたい。
そして、上手くいくはずだ。
見間違うはずはない。
お花畑の国には、朗らかに笑ってくれる近藤が浮かび、
結衣はお手製のチーズ入りマフィンを手に彼の隣に腰掛けるのだ。
確かに夢には見える。
幸せだけを集めたい。
わざわざ不幸せを拾いたくない。
だって、近藤には笑顔が一番相応しいし、彼の笑える環境を提供する女子でありたい。
そしてMとR。
二人だけではなく中学の友人や奥、クラスメートや同級生、皆と過ごしていきたい。
欲張りな結衣は恋人だけの狭い空間ではなく皆とこの恋を育んでいきたい。
流れ星が空気を読むようになれば完璧だ。
…‥



