揺らぐ幻影


アクセサリーで考察するなら、

飴ちゃんやカメラや鳥カゴなど少し変わったモチーフのネックレスはイジってもらうの待ちだし、

オモチャの指輪を嵌めるのなんて無邪気アピールだし、フォークや時計、果物モチーフのピアスだって不思議ちゃん演出で、


そうやって人並みに女子高生をしている者なら、ぼちぼちセルフプロデュースが得意で当たり前なのだから、

結衣はユニークな子らしいメールを送り、既に絶賛自己演出中だ。


作ることを嫌う女性が居るが、ぶりっ子は努力だと認めている結衣的には、

好きな人に限り良識の範囲内ならばアリだと思っている。


そんな事情で、他人からすれば笑い所が謎だが、二人がユーモラスだと感じるならば、このメールは成功だ。

たとえ恋愛の含みや異性ながらの甘い雰囲気に欠けようとも、

彼のツボに嵌まる文章を打てて、なおかつ自分も楽しめる場合、

十二分に彼女は小悪魔計算できているのだ。


《定番ですけど笑。ハートが光るんだよ》

《知ったかぶるな笑、メロンのパンはお姉ちゃんが本当は優しいから切ないとか泣けるだろ》

《だから知ってる笑。近藤くん古いよ笑、クリームのパンはミットじゃないから》


さて、このように高校生の時期は、なぜかキッズアニメの設定を話題に盛り上がることが多々ある。

好きな人とのみ成立する愉快なおどけ具合は微笑ましい。


また、わざと幼児向けアニメのキーホルダーを通学鞄に付けたり、

メールアドレスにキャラクターの名前を入れたりする子も見られ、

それは男女関係なく可愛いアピール、ちょっとした無邪気ノリだ。


自惚れてもいいだろうか。

世間一般、計算といえばお金持ちを貢がせる女を挙げ、

男はというと単純にお持ち帰りしか考えていないイメージが強いけれど、偏り過ぎている。

後者だって術策を練るもので、ならば過信しても構わないだろうか。

結衣に対して近藤がユーモアを推していると。

そう、彼が彼女に好かれようとしているのだと。


  なんか、

必死で理性を働かせようが、ふわふわとした香りを吸い込んでしまうと不可能で、

ホッペが無意識に持ち上がってしまう。

TV画面に合わせて天井が染まるここは夢の国だ。